短い夢物語
□スターチヌの花を貴女に…
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『歳三〜いる〜?』
「……ルイ、ここは一応職員室だ。それに、でけぇ声で呼び捨てにすんじゃねぇ!」
休み時間になるといつも俺の所にいた。原田の事が好きで、相談…いや、話を聞いてやっていた。
『ねぇ、歳三〜?…私ってまだ子供かなぁ…原田先生や歳三と10歳しか離れてないのに…』
「そりゃ、十代と二十代、学生と教師…ガキと見られても仕方ねぇなぁ。」
ルイはいじけたように口を尖らせて、俺の足下にしゃがみ込んだ。長い漆黒の髪を掻き上げる姿はオトナの女のようだ。実際、制服を脱いだら年齢などわからないだろう。
『ーーーーーって、聞いてるの?歳三〜?』
「ん?何だ?」
も〜聞いてないなら戻る!とルイは立ち上がり、教室に戻って行った。
「…土方さんも懐かれたもんだな。毎日きてるじゃねぇか、アイツ。」
隣の席の永倉が話かけてきた。教師としてはいい加減だが、周りを見る余裕だけはあるらしい。
「まぁな。原田の事が好きらしいんだがな…」
「ま、程々にしておけよ?…ルイがくる度に殺気を投げかけられるのはゴメンだぜ?」
と、指を指した。其の先をチラッと見ると原田が俺を見ていた。…嫉妬か?