落花流水

□契約
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スタジオに篭って何日になるか…もう記憶にない。タバコを吸っても、ピアノを弾いても詞が出てこない。詞が出てこない……曲も…

「……外にでよう。」

人けのない夜の公園…見上げればネオンが光りに放つこの街では滅多に見えない星空。芝生に寝転び少しの休息を……瞳を閉じた。



どれ程の時が過ぎたのだろう…ネオンの光りも次第に消え始め、月明かりが暗闇を照らし出す。四月の柔らかな風に乗って歌声が聞こえてきた。耳を傾けていると、頭や心の靄が晴れて…クリアになっていく。どんな事をしても出てこなかった詞や曲が、湯水のように溢れ出す。芝生から起き上がり歌声の方を見ると一人の少女が月の光りに照らされて…天使のようで…月に帰ってしまうかぐや姫のようで…。

「…キミ、名前は?」

気づいた時には…声をかけていた。
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