落花流水

□呼出
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「近藤様ですね。総帥から伺っております……御付きの方は別室にてお待ち下さい。」

「いや、俺……私も同席させていただきたい。今回の件の他にもお話があります。」

秘書と名乗る男は何処かに連絡しているようだ。まあ、呼んでもない人間が居るんだからしゃぁねえか。

「……では、此方に。まもなく総帥がみえます。」

俺と近藤さんが通された会議室。何帖あるかわからねえほどの広さだ。出された茶も……きっと高いやつなんだろう。俺好みの味がした。話の流れを頭の中で整理している時、扉が開いた。入ってきたのは……然程高くはないがスラリとした若い男。まさか、こいつが総帥?

「……お待たせしました。では、今回の撮影……どういった経緯なのか、話して下さい。」

近藤さんが話し始める中、俺は総帥を見つめていた…………誰かに、似ている。近藤さんが話す事を箇条書きするかの様に紙に書き留めている。その姿を、何処かで俺は見ている……気がする。

「……わかりました。では、御付きの方は何か話がありますか。」

書き留めた紙を秘書に渡し、俺を見据えてきた。その瞳も……何処かで見ている。

「……来年度、学園から手を引くというのは本当か。」

「その通りです。然し、私も非情ではありません。風間グループに「風間だと!」……お知り合いでしたか。名を風間千景と言います。ウチとは少し規模は小さいですが、それなりに融資してくれるでしょう。話はそれだけですか?……では近藤……今回の件、話はよくわかりましたが、勝手な行動は今後止めていただく。必ず本社に報告、許可が下りてから行動するように。あちらの事務所には此方から説明しに行きます。」
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