サイコパス夢

□♯01
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シビュラに支配された街。
誰もが自分の精神を如何に正常に保ち続けられるか試されてる。



『犯罪係数309 執行モード リーサル・エミリネーター』
(あぁ、300越えちゃった)
追跡する犯人の犯罪係数はどんどん上がっていく。
それはそうだ、公安の刑事数人にこんな風に追いかけられれば色相は濁り犯罪係数は上がる一方だ。

「妃梛さんはそのままで!僕がやります!」

一緒に犯人を追いかけていた執行官が私の前に立ち変形するドミネーターの照準を合わせる。
私は一歩下がって犯人の上半身が無くなる様子を見るしかなかった。



「白雪」
「咬噛くん。お疲れ」

公安局に戻ると別件で現場に出ていた一係のメンバー。

「ひめ〜、せっかくの綺麗な顔に血が付いてるぞ」

一係の執行官である佐々山さんが私の顔についている血をスーツの袖で拭ってくれる。

「あとで化粧直してこいよ」
「ありがとう」

佐々山さんはニカッと歯を見せて笑ってくる。
一見ガサツそうに見えるこの人だが女性には優しい。

「そんなに大変な現場だったか?」
「ううん。追ってるうちに犯罪係数上がっちゃって仕方なく」
「そうか」
「大人しく捕まってくれれば良かったんだけど……」

逃げさえしなければパラライザーで連行できたのに。
シビュラがそう判断したのなら私たち公安局はそれに従い執行するしかないのだ。





鏡に映る自分の顔を見て再度返り血が付いていないか確認をし、手早く化粧を直していく。

「お疲れ様です」
「あ、弥生。今日は璃彩が公休だから休憩は分析室行くね」
「わかりました」

黒髪を一つに束ねた一係のクールビューティ六合塚弥生。
彼女とは数少ない公安局の女性刑事ということで仲良くしている。
ま、璃彩はあまりいい顔してないんだけどね。



「おじゃましまーす」
「はーい、いらっしゃーい」

モニターに向かう金髪の後ろ姿に声をかけると指に煙草を挟んだまま手を振って返してくれる。
唐之杜志恩、公安局の分析官である。

「私も久しぶりにカップ麺にしようかな」
「ストックまだあるから好きなのどうぞ」

ソファでカップ麺を啜っている弥生を見ると何故か食べたくなってくる。
璃彩と一緒だとジャンクフード系を食べないから分析室へ休憩に来たときの楽しみでもある。

「手早く食べなさいよ、ここの男共がくる前に。皆妃梛のそんな姿見たくないんだから」
「はぁ、いつまで私はここの姫じゃなくちゃいけないの?」
「監視官である限りは永遠に?」

ふふっと笑ってモニターを離れてこちらに来る志恩。

「そんなに綺麗なもんじゃないのにね」
「それは私達が知ってても、ここの飢えた男共にとってはあんたは姫様なのよ」
「刑事が職業の姫様ね。せめてジャンヌダルクとかカッコ良く」
「それは青柳ちゃんの役目」
「はぁー」

私と志恩の会話中も静かに黙々とカップ麺を啜る弥生。
私もお腹が空いたのでとりあえずカップ麺を食べることにした。
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