外伝短編

□教訓と人見知り
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「俺に勝ったら今日のメシ代タダだけじゃねぇ
何でも好きなもんくれてやる!!
なんならうちのカミさんだっていいぜ!!」

「なっ、アンタ!!」

「負ける気がしねぇからってよく言うぜ!」


地下にあるとある居酒屋

すべてはここから始まった



店主の大胆な言葉に妻は驚き客は笑う

だがその条件に一人の青年が立ち上がる


「へ!?」

「おっ!?
兄貴、やんのか!?」


店内で行われている腕相撲勝負

今まで素知らぬ顔で食事をとっていたリヴァイが立ち上がったのだ


「オイ…」


「勝負してやる」


リヴァイは腕を捲って店主に勝負を臨んだ


「リヴァイか…
てめぇとは一度手合わせしたかったんだ」



「どんだけ腕が立つか知らねぇが…
腕力でこの俺に勝てるか?」


腕を組み合うリヴァイと店主

ガタイの大きい彼と、細身のリヴァイ

勝負はわかりきっているかのように思えた


「いっけぇ兄貴!!
やっちまえ!!」

「オイ
カミさんお持ち帰りは勘弁してくれよ…」


だがリヴァイを知る者のとっては、それは逆の意味で勝負が見えていた

もちろん、リヴァイの力を加減されているとはいえその身で受けているカグヤも先は見える

ある意味店主が心配でファーランとイザベルの間で勝負の末を見ようとしていた


「……ゴホッゴホッ」

「…!」


不意に誰かが咳き込んだ声が聞こえた

振り向くと見慣れない男性がいる


男性が気になって、カグヤはそっとファーランとイザベルから離れて相手に近寄り、背中を擦って水を注いであげた


「…ありがとう、お嬢ちゃん…
楽になったよ…」


男は弱々しくも笑う


体調が優れないのか、顔色が悪い…


「そうだ
お礼にいいものをあげよう
ついておいで」

「え…
でも…」


男性の誘いにカグヤは騒ぎの方を見る


「あああ頼む!!
カミさんだけは勘弁してくれええ!!」


勝負はついたようだ

だったら、ここから離れるわけにはいかない…



「すぐに終わるんだ
来てくれないか」


ふらつきながらも男はカグヤを誘った…
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