短
□お付き合いとお邪魔虫
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「黒子っちと火神っちがオフの日に一緒にいるなんて。
それも私服ってことは………待ち合わせでもしてたんスか?」
そんなことをほざきながら、黄瀬は隣のテーブルから椅子を引っ張ってきた。
どうやら居座るつもりだ、このお邪魔虫シャララ☆は………っ!
ほら、見ろ! お前が来たから、火神のテンションだだ下がりじゃねーか!!
黒子は呆れているような表情で、なんて思ってるかなんて分からんけど!!
「………たまたまばったり会っただけです。
黄瀬くんはどうしてここに?」
「撮影がこっちであったんスよ。
現地解散で、ちょっとブラブラしようかな? って思ってたら、ビックリ!!
黒子っちと会えちゃったんスよ! これって運命ッスよ! ね?」
どうやら例に漏れず、黄瀬の眼中には黒子しか映っていない。
火神は黒子を取られたような気分なんだろう。 先程までなかった幾重もの皺が眉間に浮かんでいる。
「………………黄瀬君」
「なんスか!!? 黒子っち?」
「気持ち悪いです」
「ヒドッ!!」
黒子は摂氏0℃の視線を黄瀬に送る。
しかし、虫はそんなことはお構いなし。 痛くも痒くもないらしい。
タフだと思えばいいのか、ドMだと罵ればいいのか。
いや、ただの勘違いバカ野郎なだけ、か………?
「つか、黄瀬。
お前なんで断りもなく、座ってんだよ」
「え〜? いちいち火神っちの許可がいるんスか?」
「………………ねぇ、けど………」
「じゃぁ、居たっていいッスよね? ね! 黒子っち?」
「………………………」
火神がイライラしながら、黄瀬に突っかかる。
しかし、逆に反論を許さない状況に持っていかれた。
同意を求められても、黒子とて火神と同じ気持ちだ。
何も言うことが出来ず、ただ沈黙する。
だが、なんとか火神が言い訳を考え付いたようだ。
「………そろそろ帰るか、って話してたんだよ。
混みだしてるし、2人で4人掛けのテーブル使うのもどうかと思うし」
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