□お付き合いとお邪魔虫
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そう、なぜか誠凛バスケ部先輩一同が尾行しているのである。
カントクのリコは所用のため来れなかった。 一番のブレインが。
場所は同じマジバの店内で、リコプロデュースによる変装もしている。
他の客からしてみれば、変人の集まりだ。
確かに彼らの感覚としては、2人は家族のようなものだし、心配になる気持ちは分かる。
だが、いくらなんでも尾行は………やりすぎな感が………。


「おい、勘違いするな! 俺たちは別に、あいつらを心配してんじゃないぞ!
 色々あるんじゃないかと………!」


「日向………おまえも、誰に話しかけてるんだ?」




二度も突っ込む伊月は、二度もスルーされた。
そんなことにはめげない! だって伊月だもの!
なんて変な行動は置いといて………。

緑間張りのツンデレ
(心配性な親が周りに変な目で見られながら、
 子供のデートを尾行して親しい友人に会い何してるのかと問われた結果、
 尾行の理由が分かるという典型的なパターン) の所為だ、きっと。

そんな考察は、カポーたちの危機によって遮られた。


「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ………!!!
 あいつらに黄瀬が接近したぁぁぁぁぁあああああ!!」


隣にいる水戸部をガックンガックン揺らしながら、小金井が目をグルグル回し小声で騒ぐ。

まぁ、なんとなくは覚悟はしていた。 だってあのキセキの世代だ。
絶対に見計らったように出てきて、ひっちゃかめっちゃかする。
それが、『キセキの世代』(という認識になっているメンバーたち)だ。

一体どうやって、奴を撒こうか。
まだ、可愛い可愛い後輩との距離は遠い。 はやく考えなければ………。
その危機に瀕している−特に懐かれているのは黒子たちは、そんなことはお構い無しにデートを楽しんでいる。


「どうするの? 黄瀬君がここにいるって大声で叫ぶ?」


「いや、そうやったらアイツラに黄瀬の存在がばれる」


「海常の誰かに連絡してみるか?」


「………………………。 俺らの中で、知ってる奴いるのか………?」


そんなことをやっているうちに、黄瀬と彼らの距離はほぼ0だ。
汗を大量に流しながら様子を伺っていると、最悪の事態が起こってしまった。


「あー! 黒子っち! こんなところで会うなんて!
 お久しぶりッス!! あと火神っちも」


ヤバイ………終わった………………。
顔面蒼白になった面々は、ただ呆然とお邪魔虫を凝視していた。
さすが黄瀬というか、黄瀬が黄瀬である所以か。
まったく空気を読まず、ズイズイと土足で入り込んできやがる。











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