短編
□bear上
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小さい頃貰った大きな大きなクマのぬいぐるみ。その両手に挟まれているメッセージカードに目がいった。あのクマのぬいぐるみは、普段そんな物を持っていない。
誰かがきっと差し込んだのだろう。その誰かを頭の中で思い浮かべる。
こんなことをすると言えば、もう一人しか出てこない。ゆっくりと近付きそのカードを手に取った。
『がんばれ。』
見て分かる、一生懸命に書かれた文字。たったの四文字に、君はどれ程の思いを込めて書いたのだろう。
あんなにも小さな小さな手で。
きっと今頃は、身長に似合わないふかふかのベッドで寝ているのかな。そんな君のことを考えていたら、自然と笑みが零れる。
小さな小さな幼い君。いつも隣で子供らしい無邪気な笑みを浮かべる君。
いつからか、そんな君が。
ぼくは。
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