短編

□bear上
1ページ/15ページ



小さい頃貰った大きな大きなクマのぬいぐるみ。その両手に挟まれているメッセージカードに目がいった。あのクマのぬいぐるみは、普段そんな物を持っていない。

誰かがきっと差し込んだのだろう。その誰かを頭の中で思い浮かべる。

こんなことをすると言えば、もう一人しか出てこない。ゆっくりと近付きそのカードを手に取った。


『がんばれ。』


見て分かる、一生懸命に書かれた文字。たったの四文字に、君はどれ程の思いを込めて書いたのだろう。

あんなにも小さな小さな手で。

きっと今頃は、身長に似合わないふかふかのベッドで寝ているのかな。そんな君のことを考えていたら、自然と笑みが零れる。


小さな小さな幼い君。いつも隣で子供らしい無邪気な笑みを浮かべる君。


いつからか、そんな君が。





ぼくは。






ーーー
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ