短編A

□贈り物に込めた意味
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「お帰りなさい……だぴょん」

「ぴょん……?」


部屋の扉を開けると視界には名無しさんに預けておいたウサギのぬいぐるみが映った。

いや、正確にはウサギのぬいぐるみを顔の高さまで持ち上げた名無しさんだが。


「何してるのかな?名無しさん」

「僕はピョン助だぴょん」

「……」


ウサギのつもりなのだろう。声色を変えてまでウサギを演じ続けた。

何が目的かは分からないが、とにかく気になったのは……


「どうして顔みせてくれないの?」

「……えっと、その……」


恐る恐る自分のポケットから何かを取り出し、ウサギに持たせると、ウサギごと僕に渡してきた。

ウサギに持たせた包装紙にラッピングされた箱と名無しさんの顔を交互に眺めていると、ズイッと胸に押し付けられて逃げる様に部屋を出て行った。


「……開けていの?」


誕生日でもないんだからプレゼントを貰う日では無いはずだが……
ふと底冷えする様な寒さを感じて窓に目をやると雪が降っていた。


「ヘイゼルにでも教わったのかな?」


拙い字で書かれた一言だけの『Merry Christmas』のメッセージ付きのプレゼント。

中身はネクタイとネクタイピンだった。


「……ククッ……これは……」


これを男にプレゼントをする意味がわかっているならば、僕はどんなお返しをしようか。

可愛い服をプレゼントして着せ替え人形にした後脱がせるのも悪くない。

そう考えながら彼女の部屋に向うのだった。




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あとがき
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