短編A

□両片想い
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「悟空。桜綺麗だねぇ」


そう言って桜を見上げた横顔に釘付けになった。

繋いだ手から伝わる温もりが妙な緊張感を醸し出していた。


「お団子、食べないの?」

「……」

「悟空?」

「く、食う」


見惚れていて団子の存在を忘れていた何て……多分子供だって笑られるんだろうけど。

俺を見ていた視線が再び桜に戻された。

桜じゃなくて俺を見て欲しい!

って言うのはやっぱり子供の意見何だろうけど今は……あいつがこっちを見てくれるなら子供だと思われてもいい。


「……団子、こっちの味も……美味い…と、思う」

「うん!」


団子を口実に再び合った目に動揺して、しどろもどろになった。

でも視線を逸らすのが勿体無くて、暫く無言で見つめ合った。


「好きだなぁ………その眼」

「俺も好きだ」


何が、と言うのは今は言わないでおこう。

キミを守れるくらい大人になったらもう一度目を見て言わせて欲しい。



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