短編、番外編

□煙と香り
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「……っケホ」


いつも彼が吸っているから興味があった。

でも普段から吸わない私に気を使ってか、外或いは窓を少し開けてなど気遣ってくれる。


「悪ぃ…煙、入って来たか?」

「ううん。違うの」


言えない。

悟浄の香りに釣られて、火が消されないままになっていた灰皿の上にあった吸いかけの煙草を悪戯に吸ってみて咽た……なんて。


「悟浄の……」

「ん?」

「悟浄の味とは違うなって……」

「煙草悪戯してたの?」

「キスとおんなじ味かと思って……」


そう言うと言い終わる前に唇を悟浄のそれで塞がれた。最初から深く入り込んで私の口内を堪能するとチュッとわざとらしく音を立てて唇が離れた。


「どうだった?」

「うーん…やっぱっり違うかな?」

「さいですか」


じゃぁ悟浄の味って?と考え出した私を複雑そうに眺めた。
その顔を笑ってやれば再び唇を塞がれた。

悟浄の味。

それは煙草を吸わない私には煙草と同じかはわからないけれど、私にしかわからない味だった。



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