短編、番外編
□温もり
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「はぁ……ぁあンッ、い、やぁ……」
「いやだと?」
嫌だと首を振りながらも、俺に両手を押さえつけられ抵抗が出来ない名無しさんを見下ろし、激しく腰を打ち付けた。
片方の足を肩に担ぐ様にし、もう片方は開いてる手で更に横に広げる。
「さん、ぞッ……っはぁン…あぁっ!」
俺の動きに合わせて揺れる胸も、嫌がりながらも善がる声色が扇情的で、毒素にまみれた社会に生きている俺にはこれだけが唯一の救いだった。
どんなにこの手で汚しても、名無しさんの瞳は穢れることを知らず真っ直ぐに俺を見つめる。
「……っ?」
「すまない」
「ううん。嫌な事あった?」
突然動きを止めた俺に、緩んだ両手の拘束を解いてその手で俺の顔を包んだ。
嫌なことなんて毎日だ。
だが、名無しさんの顔を見れば直にそんなこと忘れられる。
それでもこんな行為に及んでしまったのは……自分が自分でいられそうになくなったから。
外面や肩書でしか俺を見ない奴らの中で、俺自身を見てくれて、何も言わず受け止めてくれるから……。
「あンッ…い、やぁ…おっきく……」
「掴まっとけ。動く……ッ…」
名無しさんの問には一切答えず、両手を背中に回させて先程よりも激しく腰を打ち付ける。
そして…
「ひャぁ……きちゃう……あぁッ…!!三、ぞっ…怖い」
「大丈夫だ」
「ッッ…一緒にッ…――――――ッ…」
全てを名無しさんにぶちまけた。
まだ肩で呼吸をしながら達した余韻に浸る名無しさんから満足気に萎えた自身を取り出し、結妃の足を広げる。
「へ……?ひゃァぁっぁァッ…」
そこに唇を押し付けて、自身の放った精液を思い切り吸い上げた。
「待っ…じ、自分でする、からぁ……」
「その状態じゃ、風呂入れないだろ?」
「……また、シたくなっちゃうッ…///」
脚の間に顔を埋めた俺の頭を恥ずかしげに抱え込んだ名無しさん。
あぁ、その顔は反則だ。
「……」
「…三蔵…?」
「次は優しくしてやる」
チュッと振れるだけのキスを落とした。
今夜はまだまだ終わりそうにない。
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→あとがき