短編、番外編

□副作用の恋
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「これまた定番だなぁ」

「ヒロインがってとこがまたベタですよね」

「へぇ……あんまり変わりないんだな!」

「……。」


目が覚めると、横には見覚えのない……否、微かな面影に見覚えのあるガキが隣で眠っていた。

寝惚けていたのもあってかあまり気にせず、寒そうに震える小さな身体に布団を掛けてからそいつに背中を向けて再び眠りに落ちたのが数時間前で…


今は俺を起しに来た八戒が幼女を発見し、面白がったあいつらがわらわらと部屋に押し掛けてきた。


「ん……」

「あ、起きたぞ」

「お兄ちゃん達だーれ?」

「名無しさんチャンの未来の旦那様だよー?」

「三蔵、銃しまって下さい。」


銃を見て、危険なものだとわかったのかベッドから降りて隅に隠れてしまった。


「怖くないですよ。ほら……」


八戒が目線を合わせてしゃがみ、手を差し出した。が、あいつはそれをすり抜けてこちらへ走ってきた。


「さんぞー?お兄ちゃんさんぞーって言うの?」


一生懸命ベッドによじ登り、俺の膝の上に対面になる様に座ると、無邪気にこちらを見上げながらそう訪ねてきた。


「何でうちの最高僧様は子供に好かれるんだろーな。」

「悟浄。今のうちから手懐けようとしてもだめですよ?」

「なぁ!!俺、悟空ってんだ!こいつはジープ」


遊び相手を探していたのか、悟空の声に直ぐ様三蔵への興味をなくし、二人と1匹…いや、1人と二匹で遊び出した。

女の子らしく悟浄の長い髪をで三つ編みを結ったり、八戒とままごとをして遊んでいる姿は、正に年相応で今は随分と我慢や背伸びをしてしまっているようだからこんな姿になった時くらいは…

なんてらしくもなく甘い考えになってしまった。


「さんぞー…」

「何だ」


小さくドアが開き、目を擦りながら現れた彼女に、煙草を灰皿に押し付けてから手を伸ばした。

膝の上にちょこんと座り、胸に頭を預ける様に目を閉じた。どうやら遊び疲れたらしい。

俺達もこんなことをしている暇ないのだが、一行の一人がこんな事態になっていては進むものも進めない。

今頃八戒辺りが多分何かしらの調べて居るとは思うが……。


「名無しさんはさんぞーのことスキだ、よ……」

「……」


そこまで言うと彼女の身体が光を発し、光が収まる頃には元の姿に戻っていた。


「ベタだな。………返事は起きた時にしてやる。今度は直接言え」


膝から落ちそうになった身体を抱え直して自分も人眠する事にした。




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