短編、番外編

□変わらない瞳
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「うこくさまー」

「なんだい?ウサギちゃん」

「名無しさんはウサギちゃんってなまえじゃないよ」

「はいはい、名無しさん。なにかな?」


彼女はとにかく不思議だった。

何者なのかもわからない彼女に"名無しさん"と言う名前を付け、今はこの吠登城に置いていた。

旅をしていた時に偶然行き着いた古びた寺院で不思議な石の中に封印されていたのだ。


見た目は17~8の女の子と変わらないのに、まるで生まれたての赤子の様にモノを知らない。

クリーム色の色素の薄い髪色はこの国では目にしたことはない。

ただ、この目……


「金の瞳……」

「うこくさまは、名無しさんの目スキなの?」


素肌に白衣を羽織り、胸元だけをボタンで閉じただけと言う何とも言い難い格好の彼女を膝の上に座らせて、瞼に口付けた。


「好きだよ」

「名無しさんもね、うこくさまのことすきなんだけど……かみがね、こうばさーってなってるほうがすきなの」

「ばさーって……って?下ろしてる方が良いってこと?」


そう聞くとコクコクと首を縦に降った。

この無知で何も知らない身体をこの手で何度染めてしまおうと思ったことか。

でも君は染まらなかった。


"何色にも染まらない純白"

"何色をも染め上げる漆黒"


矛盾だらけの世界で、矛盾しているからこそ惹かれたのかもしれない。

君をこの手で染め上げるのが先か、君が僕を染めるのが先か……



答えは月のみが知っている。

何て、今回ばかりは"月"すらも驚愕する様な答えを用意するつもりだよ。



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