短編、番外編
□ハロウィン
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三蔵ver.
「おい、菓子寄越せ」
「は?」
三蔵が煙草を吸いながら新聞片手に、こちらに手だけを差し出して来た。
お菓子を寄越せ
と面と向って言ってくるのは珍しいが、三蔵は確か甘い物が好きだったと思い出した。
「えーっと、待ってね?」
自分のバッグの中をゴソゴソと漁り、昨日偶然に見付けたかぼちゃのお菓子を取り出した。
そう言えば町では"ハロウィン"と言う祭りが行われているらしい。
異国の収穫祭を模したものと言っていたが、随分と賑わっていた。
私も興味がない訳ではないが、三蔵がいかないなら行かない、と先刻三人を宿から見送ったばかりだった。
「あった!はい。」
やっとのこと見つけたお菓子を三蔵に手渡し、横のベッドに腰掛けた。
「もしかして、ハロウィンのまね?"お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞー"って言うつもりだった?」
「いや」
新聞から顔を上げないままかぼちゃのお菓子を頬張る横顔眺めていると、いつの間にかニヤリと悪い笑みを浮かべた三蔵と目があった。
「悪戯させろ」
―――Trick bat treat
お菓子くれても悪戯してやる
どっちかなんて選ばねぇ
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