短編、番外編
□貴方しか
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「もう嫌。捲簾とは別れる!!」
「何でだよ」
「てか、付き合ってもいなかったでしょ…」
「……そうか?」
惚け顔をした彼に無性に腹が立った。
確かな言葉を貰った訳でもないから付き合ってなんていない。
ただ、彼が軍人になる前から一緒にいて……多分幼馴染とか腐れ縁ってやつ。
とかいいながら私も戦わないにしろ、軍関係の職についてしまったのだから笑ってしまう。
「何だ?俺よりいい男でも見付けたか」
頭ポンポンと撫でながら笑顔で尋ねてくる捲簾。正直彼よりいい男何て沢山いる。
天蓬だってちゃんとしてればかっこいいし、どっかの軟弱な金髪だって皆が焦がれる程のイケメンな訳で……
でも、でも!!
「捲簾より良い男なんて、沢山いるもん」
「そっかそっか。じゃぁ―――」
俺くらいお前のこと思ってる奴はいるのか?
なんて……そんなのいるわけがない。
分かりきっている問にキッと睨み付ければ、そっと抱き寄せられて……
「俺にしとけよ」
と言われた。
それこそ分かりきっているであろう当たり前の答えしか持ち合わせていない。
「うん」
と珍しく素直に返事を返すと、私にし向けない笑みで応えた。
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