短編、番外編

□依存
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「どうして勝手に部屋から出たの?」


腕を痛いほど掴まれて、壁に押し付けられた。
彼の左手に捕らえられている顎は話すことすら許されないとでも言うように力が込もっていた。


「僕から逃げたいの?」


彼の問に首を全力で横に振った。逃げたいと思ったことはない。
博士が好きで好きで……博士のウサギになることが私の望みだった。


「殺しちゃおっかな……」


緩く首を締め付ける博士の手。
酸欠状態すらも彼から与えられたものと思えば最上級の餌だった。


「いっそ、薬漬けにでもしよっか」


まるで玩具でも眺めるような目つき。

あぁ、それでもいいのかもしれない。いっそ博士しか要らない……寧ろ博士なしでは生きられない身体にして欲しいとさえ思ってしまう。

私達を繋ぐのは愛より重い鎖の様な"依存"だ。


私が彼からの依存を感じ取れるのは死ぬ瞬間だけ。だからこうして何度も反抗する。

それを博士もわかっているから……



ねぇ、次はどうしたら私に依存を示してくれる?



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