短編、番外編

□第三夜【中】
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「はい、りんご飴どうぞ」

「たこ焼き食べる?」


奢られ慣れてないと告げたばかりなのに、次から次へと色々なものを与えられた。

完全にこの二人は面白がっている…。


「もう食べきれません……。」

「可愛い子はそう言ったものを持ってるだけでも可愛いですね」

「同感。ってことではい、水風船」


右手にりんご飴、左手に水風船。そして口の中が空になったタイミングで与えられる食べ物類。

彼これ祭りを堪能してからずっとこの状態だった。何かに興味を持つとその場で直ぐに買い与えられてしまうのだから不用意に視線を動かせない。

だからと言って容姿端麗な二人をずっと眺めているのも目に毒だった。


「金魚の袋もいいねぇー」

「イカのぽっぽ焼もお似合いですよ」


次から次へと渡されるオプションにお腹と両手がいっぱいになった。

とても居心地がいい。

出逢ったのはつい最近なのに、これが日常で有るかのような錯覚に陥ってしまった。

こんななんでもない平和がずっと続けばいいのに…。


「名無しさん?どうしちゃったの?」

「気分でも悪くなりましたか?」

「いえ、あの……来年も三人で来ましょう、ね」


私の問い掛けに、困った様な笑みを浮かべる二人。皆、何処かで分かっていたのかもしれない。

これがそう長くは続かない事が。

だからこそそれぞれが今の温もりをを噛み締めていたんだ。




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