短編、番外編
□貴方に似合うもの
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「金蝉ー」
「……」
「あれ?」
元気よく開いた扉とテンションは見事に空振りに終わり、机に突っ伏した金蝉にそっと近寄った。
悟空が言っていた金蝉の趣味である判子押しは既に終わっていて、いつも通りの正確さで押されている。
「寝てるの?」
悟空くんと一緒に花冠を作ったのだ。どうしてもあげたい人がいるから教えて欲しいと言われた。
彼は初めて出来た友達のナタクにあげたかった様だ。
私は特に誰にあげるとかはなく、悟空くんの見本の意味で作った。
だがいつもより綺麗に出来たもんだからつい……
「金蝉の髪、花冠似合うなぁー」
つい金蝉に花冠を乗せてしまったのだ。
ハッとしたのもつかの間で花冠を取ろうとした矢先、唸り声が聞こえたので恥ずかしくなり、花冠をそのままに扉へと猛ダッシュしてしまった。
「バレバレなんだよ。ったく……」
その後金蝉がこんな事を言っていたなんてのは……きっと私の耳にはいることはないだろう……。
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