HQ!夢小説

□ことり
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「にろちゃん!」

―やめろ

「にろちゃん!!」

―やめろ

「にろちゃ「だからやめろっていってんの!!!」....むぅ。」

むぅ。じゃないってのお前。

「俺の名前はふたくちです」
「にろちゃんでしょー」
「ふたくちです」
「にろ」
「....」

俺のことをにろちゃんにろちゃん呼んでくるこいつは隣の席の松岡。2年間同じクラスである。こいつがにろちゃんって呼びだしたは高1の時の自己紹介の時からな訳だがかれこれ一年ちょい経つことになる。そりゃあ女子に名前を呼ばれるのは男としても嬉しいところだが呼ぶならちゃんと二口堅治って名前を呼んで欲しい。しかも松岡は女子の中でも可愛い方だからなおさらのこと。にろちゃんにろちゃんって呼んで駆け寄ってくる姿が可愛いから軽く許してしまってるなんてこいつには言ってやらない。絶対。

「で、なんでお前は二口って呼ばないの」
「えっ」
「...え?」
「な、なんでって何で」

....?
明らかに怪しい。なにか隠してる。その証にこのキョドり方である。「あの、えっと」と言いつつ目を泳がせている。これだと俺が松岡を苛めてるみたいじゃないか。

「あー...やっぱいいや」
「え」
「なんでもないわ、じゃあな。」

言いたくないなら無理に言わせる必要もない。今まで許してきたわけだし。「え、あ、ちょっ、まっ」と言う松岡を背に逃げるように教室から出る。別に呼んでほしかったわけじゃないから、と自分に暗示をかけながら。足早に目的もなく歩く。
晴れない気持ちをどうにかしようと屋上に出て息を大きく吸った。天気はいい。心は晴れない。アホらし。乙女かボケ二口。たかが名前くらいでこんなになるとは。可愛いからと今まで許してきたのはお前だろう。落ち着け、そして早く教室に戻るんだ。そう自らを罵っているとバンッと強く扉を開く音。驚いて振り返ってみるとそこにいたのは松岡だった。

「どうしたの」

心の黒い部分を隠すようにできるだけ優しく声をかける。この状況を作り出したのは自分なのに。なにやってんだか。

「あ、あのね、ごめんね、二口、にろちゃんって呼んでたのには理由が、あってね、」

おい、待て今。二口って呼んだよな。肩で息をしながら必死に弁解する松岡は一度言葉を止めて意を決したように飲み込まれそうなほどに真っ直ぐな目でこちらを見た。

「今まで誤魔化してきたけど言うね。わたし二口のこと好きだよ。高1のとき同じクラスになってからずっと。実際に二口を前にすると恥ずかしくて茶化したりしちゃうんだぁ。ダメだね。それで二口に嫌われたら元も事無いのにね。にろちゃんって呼べば二口は怒ってくれて絡んでくれて話せるからって。でもいざ二口って呼ぼうとすると恥ずかしいっていうか意識しちゃって。」

涙目になり頬を赤く染めながら語る松岡をみて自分はなんてちっぽけな事で怒ってたんだ、と反省する。そう、ちっぽけな事。ただ単に俺が素直になればよかったこと。コイツに言わせる前に自分から言っとけばよかったこと。

「華奈」
「えっ?」
「ありがとう」
「え、いや、そんなにろちゃ..二口にお礼言われること「好きだよ」.....え?」

あたふたとして俺の言ったことについてけてないこいつをゆっくり壊さないように優しく抱きしめる。そしてもう一度さっきの言葉を。

「好きだ、だから俺と付き合って」

びくっと体を震わせるこいつをさっきより少し強い力で抱きしめると小さい蚊の鳴くような声で「....はい」なんて言うもんだから堪らなくてニヤけてしまった。

「あー、でもなー華奈」
「な、なに?」
「もうにろちゃんなんて呼ぶなよ?」
「うん、」
「これからは堅治って呼んで」

体を離して覗きながら言うと華奈はりんごみたいに顔を真っ赤にして絞り出すように返事をした。


これで一件落着、か。
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[あとがき(懺悔)]

特別につけさせてください
読者様ごめんなさい
二口くんの性格と口調もっとつかめてから書くべきでした(´;ω;`)
あとテンポ早いっていうか展開早いですね(;´д`)

こんなものでも満足していただけたら嬉しいです(:​D)|​ ̄|_​

とりあえず伊達工戦を読み返しまくって二口くんを掴めるようにします!!!!!!!

読んでくださってありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!




以上、特別懺悔でした

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