HQ!夢小説

□シュークリーム
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うちの部活のマネージャーはシュークリームが好きらしい。そうニヤつきながらコソコソと教えてきた及川に「キモイ」と一言放ちながら心の中で軽く感謝する。話しかける話題が見つかった。

「ねぇ松岡ってシュークリーム好きなの」

休憩中に試しにそう話しかけてみる。シュークリームは自分の好みである為もし松岡がシュークリーム好きならこれを口実に休日会う約束も作れるかもしれない。

「シュークリーム?あぁ、うん好きだよ?」
「そうなんだ、奇遇だね俺もシュークリーム好きなんだ」
「知ってるー」
「え?」

知ってる、とは。一体どういうことだ。教えたことなんてない。記憶を遡って探しても松岡に伝わるきっかけだなんてあっただろうか?クラスが違うために部活外で会うことはそうそうない。スコアをつけながらこっちを見ずに話していた松岡は俺の不思議な沈黙に気づいたのかこっちを見た。

「ん?なに??」
「あ、や、何でも。」
「?そう」

「集合ー」という岩泉の声ではっと気づきコートの中へと戻る。なんで知ってる?

「その顔は松岡ちゃんがなんで知ってるかって思ってる顔デ「お前が絡んでるの及川」ん?んーどうかなー??」
「なんなのお前もう...」
「マッキー心配しないでよー悪いことは起こらないよ。ね、大丈夫大丈夫」

胡散臭い笑みを浮かべて岩泉に殴られる及川をざまぁみろと思いつつ見ながら先程言われた言葉を思い出す。悪いことは起こらない、ね。この感じていくと及川が一枚かんでるとしか思えないから練習終わったら問い詰めてやろ。


「今日はここまでなー」
「「「「「ッれしたー!!!」」」」」
「ねぇ及川」

さっさと帰ろうとしていた及川を捕まえる。お前ほんと今日なんなの気持ち悪いよ。そう言えば及川はニヤニヤとまた笑って何もないよ、と言う。絶対何かあるだろ。

「花巻くん」
「ほらマッキーお呼び「ウルサイ。あ岩泉、はい。」..え、ちょっマッキー!!!いや!岩ちゃんいたっ!!!」

しょうがなく及川を離して岩泉に手渡す。ざまぁみろ。

「あ、松岡なに?」

心の内の気持ちに気づかれないように平静を装う。おい、松川笑うなよ。俺気づいてるからね。

「花巻くんシュークリーム好きでしょ?だからオススメとか知ってるかなって思って」

なぜ俺がシュークリーム好きだと知ってるのかって質問は恐らく及川が何かしらしたからって答えが目に見えているためにあえてしなかった。

「あぁ、それなら駅前に新しくできたケーキ屋行ったことある?」
「ううん、ないかも」
「そこのシュークリームがなかなかツボのんだよね。」
「へぇ〜行ってみたい」

―これはチャンスだよね。

「じゃあ今度の休みでも行く?」
「.....え?」
「あ、や、松岡が良かったらなんだけど」
「い、行く!行きたい!!」

思いの外いい食いつきだった。聞き返されたときは怪しく思われたかと焦った。まぁ充分怪しいか。でも誘えた訳だから構わないよね。

「じゃ今週末の休みでも」
「うん、わかった。詳しくはまた後で」

このチャンスは逃さないようにしないと。今週末の休み、か。どうやったら松岡を楽しませられるだろうか。ここばかりはあの及川にでも頼ってみようか。


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