HQ!夢小説

□青空
1ページ/2ページ


私の好きな人には想い人かいた。いや、現在進行系で、いる。本人がそう言ってたわけではない。ただ見てればわかる。窓際一番端の私の前の席で菅原くんは窓の外で体育をしてるあの子を見ている。
同じクラスになって少しした時に菅原くんを好きになって席替えをして偶然にも前後ろになり喜んでいた私は気づいてしまった。.....菅原くんがあの子を見る目は私が菅原くんを見る目と同じだった。
その日から私は不毛としか言えないような恋を続けているわけだけど、友人には一途だね、そうよく言われるけれど違う。意気地なしなのだ。せっかかく席が前後になってはじめの頃よりも話すようになって仲良くなったのに告白なんてしてしまえば菅原くんは気を使って前みたいに話せなくなる。私にはそれが辛かった。

放課後、課題で残された私は息抜きがてら外にある自販機にパックジュースを買いに行った。校庭では野球部やサッカー部が練習をしていた。あぁ、青春。大好きなグングンヨーグルを買う。なんだか気分が良くなり鼻歌歌いながら歩いていると後ろから軽い悲鳴と物が落ちる音がした。何事かと振り返るとそこにいたのは菅原くんの想い人のあの子だった。

「だ、大丈夫?」

知り合いではないにせよここは助けるべきだろうと声をかける。地面に散らばった洗濯するであろうタオルとユニフォームを必死にかき集める彼女の手伝いをする。バスケ部のマネージャーなのか。ごめんねと何度も言いながら籠に洗濯物を入れる彼女は女の私でも惚れてしまうかもしれないってほど可愛い子だった。主に雰囲気がすごくいい子そうな優しそうな。花が似合いそうな女の子だ。

「ありがとう松岡さん」
「いやいいよ。って名前...」
「あぁ、松岡さん有名だから」

今ですら帰宅部であるけど昔は水泳部だった。得意なのは背泳ぎで県大会1位とか取るくらいには強かったけど、ひどい怪我をして泳げなくなった。怪我をしても日常生活に支障はないしマネージャーとしてかかわっていく道もあったし監督にはそれを頼まれたけど、私は泳げないのに水泳になど関わりたくなかった。悲しくなるだけだから。


ちゃんと互いに自己紹介をして彼女は佐々木さんというのだとわかった。そんなことよりあのたくさんの洗濯物をまた一人で運ぼうとするから慌てて私も手伝った。

「佐々木さんは彼氏いるの?」
「えー、いないよー松岡さんは?」
「いないよ」

好きな人はいるけど。言葉を隠して笑う。その好きな人はあなたが好きなんだよ。なんてね。佐々木さんは悪くないしそんなこと言うつもりも無い。
部室棟の共同洗濯機に洗濯物を入れ、もう大丈夫だよ手伝ってくれてありがとう
、と花のように笑う彼女に別れを告げて教室に戻る。帰り道に飲んだグングンヨーグルはぬるかった。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ