HQ!夢小説

□夕焼け
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どういう風に言おうかと悩んでもう放課後。特に当番も用事もないわたし達はゆったりと坂ノ下に向かっていた。部活がどうとか勉強がどうとか。テレビに出てたあの芸能人が面白かったとかそんなどうでもいい話。はやく言わないと。分かっているのに言葉が出てこない。この関係をやめたくないと心では思ってる。でもやめなきゃいけないとも思ってる。澤村のために。否、自分のために。傷つきたくないがために。

「澤村」
「ん?いきなり真面目な顔してどした」
「もう大丈夫だよ」
「...何が」
「私が菅原くんにふられてからいままでずっと澤村は側で支えててくれてさ、遊園地にまで連れてってくれてさ。いろいろしてくれたじゃない。そのおかげで菅原くんのこと吹っ切れて今に至るんだけど。ありがとね。ほんと今までありがとう。そろそろ澤村離れをする時かな、と思います。」
「何言ってんの?」

笑いながら澤村は言う。真面目だよ私。

「だって。澤村優しいから。遊園地連れていってくれた日から澤村のことしか考えらんなくて。ついこの前までは菅原くんのこと好きだったのにおかしいでしょ。私自分がこんなに汚いと思ってなかった。今だってそう、こうやって澤村と帰れるのすっごく嬉しい。でも、でもこれは「華奈」

泣かないように必死になりながら早口で話す私の名前をやさしくよんだ。

「汚いのは俺のほうだよ」
「.....え?
「華奈がスガに振られて泣いてるの見てチャンスだと思った。ここで俺が優しくすれば俺のこと見てくれるんじゃないかって。華奈の気持ちに漬け込んだ。汚い手使って。で、今成功したかもしれないことにすごく喜んでる。」


何も言えない私の頬をするすると撫でながらそんなことをいう澤村はとても優しい顔をしてて。私は顔が火照っていくのがわかった。

「華奈顔まっか」
「さっ澤村のせいだよ!」
「おー。」
「おー。じゃないよおー。じゃ!」
「好きだよ」
「わっわたしも」

好きだよと小さく言うと澤村は嬉しそうに目を細めてもう一度好きだよと言ってキスを一つくれた。
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