D・金と銀〜現在〜

□刀も木刀も
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“刀の亡霊”と呼ばれる人間は、先ほどの立ち回りからは想像もできない性別だった。

「女だったんですねィ」

ヒュウ、と口笛を吹く沖田。
その横で呆然とする銀時の目に映ってるのは、浪士の刀を、持っていた袋にしまいこむ目鼻立ちの整った女。

「旦那?」
「…ん、ああ、なんだよ」

返事はしても、女から目をそらさない。

「へぇ、旦那はあーゆうのが趣味ですかィ。俺ァてっきり…」
「てっきり何だよ」
「近藤さんと恋敵なのかと思ってたんでさァ」
「ゴリラと?」

そこまで言って、銀時の頭に沖田の言おうとする人間が浮かぶ。「はあ?」と呆れた顔で銀時は沖田を見た。

「俺のどこ見たらそんな考えになんだよ、仲間の姉ちゃんほど恋愛対象外って言葉が似合うモンはこの世にねーぞ」
「へぇ〜」
「テメェ信じてねーな?」
「いえいえ、旦那は女関係が見えねェんで、色々想像したくなるんでさァ」
「おいおい、俺をオカズにするなら口に出すんじゃねーよ、気持ち悪ィな」

げんなりした顔で沖田を見ると、「あ」と言って銀時を通り越して背後を見ている。

「なん…」

だよ、と続けようとした銀時の喉元に、ついさっき見た淡い輝きが突きつけられた。
いつの間にか銀時の背後に現れた刀の亡霊が、銀時の喉元に刀を突きつけ、沖田を見ている。
いや、見ているのは沖田ではなく、沖田の腰に差さった刀。

「コイツァやらねェぜ?」

銀時を挟んで見つめ合ったまま、沖田と刀の亡霊はお互いの力を見定めているのか、笑顔の消え失せた顔で目と目を見続けている。
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