D・金と銀〜現在〜

□依頼
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「いやーよかった!タイミングがよかったのう!!」
「坂本さん、声が大きいです。銀さんが起きちゃいますよっ」
「おお!そうじゃったそうじゃった!すまんすまん!!」

わははと笑う男“坂本辰馬”、すまんと言いながら、声の音量を下げる気配の無い辰馬に呆れながら、新八はソファーに座る。
場所は万事屋の一室。

「それにしてもタイミングがよかったのは本当ですよ、坂本さんが居てくれなかったら銀さんどうなってたか」

クナイに仕込まれた毒に動けなくなった銀時を助けたのは、新八・神楽と共に現れた、辰馬が持っていた薬だった。
薬を処方された銀時をかついで万事屋に戻ってきた一行は、何があったかを桂に聞きながら、銀時が目を覚ますのを待っている。

「なぜお前江戸に居るんだ?それになぜ薬を持っていた?」
「なんじゃ、取り調べみたいじゃのう!わはは!」

桂の問いかけに笑い、目の前に置かれたお茶をすすった。

「江戸に刀の亡霊?と言うんじゃろ?なんでも方胸の亡霊が出るち聞いてのう、まさかとは思ったんじゃが、金時なら何か知ってるかもしれんと寄ってみたんじゃ。薬は一応な!まだ試作段階なんじゃが、大丈夫そうじゃな」
「オマエ銀ちゃんで何実験してるアル!」

辰馬の言葉に、神楽が飛びかかった。

「銀ちゃん毛並みもよくない雑種ダけどなァー!モルモットにするなら出すモノ出せアル!!」

「神楽ちゃん、怒るとこそこじゃない」抑えた声で新八は呆れながら、桂に向きなおった。

「奈古さんのこと坂本さんも知ってるんですね」
「坂本も知っているし、高杉もしっているぞ」
「え!高杉さんもですか?!」

新八が驚いて大きな声を出すが、辰馬と神楽はまだ飽きもせず言い合っている…神楽にいたってはすでに手が出ているが。

「あの…銀さんには聞いたんですけど、奈古さんは一体何者なんですか?あの銀さんがあんな風に怒るなんて…」
「あんな風?」

うつ向きながら喋る新八の脳裏に焼き付いているのは、

「奈古さんが目を覚ますまでは散々怒ってたのに、本人を目の前にしたら怒りをぶつける事も躊躇ってしまうなんて」

大きな音を立てて閉められた万事屋の玄関。
あの時銀時を止めていれば、こんな事にはならなかったのに…新八は後悔のせいでうつ向いた顔を上げられない。

「気にする事はない」

桂の言葉に新八は顔を上げる。

「奈古は銀時にとって大切な女子だ、止めたところでいずれ同じ結果になっていたさ」
「大切な人…」

自分の知る銀時からは、想像ができない単語だった。
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