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□医者×看護師
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「何やってんだ?!!」



「だって、仕方ねぇだろ?!」





病室に轟く怒鳴り声。


とても病室とは思えない活気ある


風景…。




「何が、仕方ねぇんだ!

見てみろ、傷口が開いちまって!」



この患者の主治医は文句を言いながら

私に手をだす。


私は言われずとも、ドクターの欲しい

ものを察し、セッシを滅菌パック

越しに手渡し、消毒液のついた綿球を

セッシで差し出す。



「トラ男がリハビリしろって言ったん

だろ?!


早期リハビリって!!」


ローに怒られている患者は悪びれる

様子もなく、反論をするが、

誰からどう見ても悪いのはこの患者。


一昨日、救急で搬送されてそのまま

オペをした。


左足、骨折。


オペは無事に終わったんだけど、

今日からのリハビリで、歩行訓練

のはずが、いきなり走り出し…


リハ室、ガラス損傷。

傷口開く…




問題児だ。




「何、勝手にあだ名つけてんだよ!


それに、歩行訓練とは言ったが、

誰がいきなり走れと言った?!


そんなに急に動いたら傷が

開く事くらい分からねぇのか!」



ローは目つきの悪い目をさらに悪く

してテキパキと処置をしながら患者を

怒鳴る。


見事な手さばき、

いつみても感心してしまう。






「だってよぉ!!

なぁ、ナミおめぇも何か

言ってくれよ!」


言い訳に困った患者は私に

助けを求める。



「あんたねぇ、馴れ馴れしく

呼び捨てにして…


私はあんたの担当の看護師だけど、

今回の件に関してはあんたを庇う

事はできないわ!


反省しなさいっ!」



ピシャリと言うと、患者は

口を尖らせて、黙ってしまった。



…その姿を見ると思わず笑って

しまいそうになるんだけど、

そこは看護師としてグッと我慢する。



「てめぇはリハビリ中止!

ジッとしてろ!


排泄以外はベッド上安静だ!!」



処置が終わり、ローは患者に指示を

言い捨て、立ち上がった。



「えーーーーーーっ!

少しくらい動いてもいいだろ?!」



「ダメだ!!」



「何だよ、ケチっ!」


患者はジッとするのが苦手なので

あろう。


ショックを受け、苦情を言う。


…自業自得よ…



「ケチとかそういう問題じゃねぇん

だよ!

早く治したけりゃ、おれの指示に

従え!」



ローはこの患者の相手をしたせいで

疲れたのか…疲労感を漂わせスタスタ

と病室を出て行った。








「ルフィ、諦めろ。」


同室の患者がローに怒られた患者

ルフィに言葉をかける。


この患者もルフィと同じく、一昨日

救急搬送された。


第1腰椎骨折。



「だってよぉ、ゾロ…

あいつおれに動くなって無理な事を!


おれに死ねと言うのか?!」


ルフィはいきり立つ。




「そう、怒るな。

あいつの言う事も一理ある。」



「サンジまでそんな事いうのかよ?!」



サンジと言われたぐるぐるの眉毛が

印象的な同室者が怒るルフィを

なだめる。


この患者も同じく搬送された。

右足首複雑骨折。

女好きみたいで、看護師にことごとく

声を掛けまくってるわ。


ルフィとは別の意味で問題児…



「まぁまぁ、ルフィ。

サンジの言う通りだ。」


「ウソップまで!」



間に入ったこの患者も同じ。


鼻骨骨折。

鼻が長いのが幸いしたのか…

この中では一番軽傷。



この4人は同じ事故で救急搬送

された。




新人で看護師になったばかりの

私の初めての受け持ち患者達。




この問題児達の世話をするのも

私の仕事。


…看護師って大変ね。
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