その他置き場

□嫉妬と羨望
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筋トレバカ

方向音痴(バカ)

昼寝バカ



バカをつければ切りがない。




一所懸命…

って言えばそうなんだけど、


一端物事をやりだすと周りが

見えなくなるのかしら…?


筋トレすれば筋トレばかり、

道を前に進めば、進むばかり…

寝れば、寝るばかり…


前しか見えてない奴だけどそれでも

あいつと関係を持ちだして当初は

私の事を多少は気にかけてくれた。


けれど、最近は気にかけるどころか

私…見えてる?って思う。



この前なんて、あまりにも相手に

してくれないので、筋トレしている

バーベルの上に乗ってやったのに

ムシしてそのまま筋トレ続ける

ありさま。


そりゃぁ、ゾロのトレーニング

しているバーベルの方が凄まじく

重たいからちょっと私が乗った

くらいでどうもならないで

しょうが、ちょっとお茶目な事

してんだから声くらいかけてよね!




そのくせ…





「おい、ナミ。」


私の名を呼ぶときは決まって



したい時。



何なの?!


この勝手さ!


私はあんたの娼婦じゃないのよ!

娼婦代わりに使うなら

お金払いなさいよ!!


それもだけど、今、傷ついてるから

せめてその分の慰謝料頂戴よ!


…とりあえず、帳面にはつけとくわ。




あいつの女になって早3年。

途中離れ離れになっていたから、

実質は1年なんだけど、3年って

やっぱり一般的にもやばい時期なの

かしら?



それにしても私みたいな可愛い女が

彼女なんだから、ちょっとは危機感

持ちなさいよね!



そう思っているとちょうど良い

相手をルフィが連れて来た。



「同盟を組むことにした。

仲良くやろう!」



私たちと同じく2年前のルーキーの

一人。


トラフアルガー・ロー



同じクルーを使ってヤキモチ

妬かせると後々面倒だから、

部外者の彼は調度良いわ。


…結構イケメンだし。



話も分かりそう…。


そう思って近づいた。





「ねぇ、トラ男くんってさ…」


「あ…?」


「恋人とかいるの?」


まず、聞いてみる。


礼儀というものね。



「…そんなもん、いるか。」


そうでしょうね。


人生苦労してそうだわ。

その目の下の隈が物語っている。



「何でそんなこと聞く?」


「ちょっと、どうかな〜と思ってね。」


「…お前はどうなんだ?」


「いるわよ。そこで筋トレしてるわ。」


「…あいつか。」


トラ男くんはふーんと言わん

ばかりに、ゾロを眺める。


「…よく、あいつと付き合えるな。」


「…分かる?」


何て、話が分かるやつなの?!


ちょっと前までこの船で私の

相談にのってくれるのはロビン

だったけど、最近、ロビンも私の話

(のろけと思ったみたい)

にうんざりして、


「ちょっと、大人になった方が

良いわよ…」


と言われてて、相談できる相手も

いなかった。



あぁ、救世主!


トラ男くん!!



それからと言うもの、何かと

トラ男くんに話をするように

なった。


船長さんだから元々面倒見がいい

みたい。

うちの船長は面倒みられる方だけど…



はじめはゾロにヤキモチを妬かせ

ようと思ってトラ男くんに近づいたん

だけど、話を聞いてもらう度に、

いつの間にか本当に居心地が

良くなってしまっていた。








1日の航海を終え、ダイニングで

航海日誌を書く。


紅茶を一口飲めば至福の瞬間。


この時間が一番ホッとするわ。





「お前、あいつに妬かせたくて

おれに近づいただろ?」



ダイニングで私の書く航海日誌を

眺めていたトラ男くんが唐突に

聞いてきた。



「…

バレてた?」


私は肩を竦めて、悪戯がばれたみたいな

気分になる。



「バレるも何も。

分かり安すぎなんだよ。」


「…そうかしら?」



あれから、すでに数日経過していた。


少しヤキモチを妬いてこっちを見て

欲しかっただけなのに、私の思惑は

空振り…



ゾロは全く気にしていない様子。



その証拠に、今もトラ男くんと2人で

ダイニングで話してるってのに、さっさと

寝ちゃうんだもの。


…私が心配じゃないのかしら?





「…こんなやり方じゃ、男は

追いかけてこねぇぞ?」


「…そうなの?



じゃぁ、


どうすればいいのよ?」


なかなか話の分かる男はニヤリと笑い、

ダイニングテーブルに前腕をつき、

身を乗り出して、囁いた。



「奴との別れをきりだせばいい。」



「!!」



「ただし、これはお前も相当の覚悟が

必要だ。





本当に別れてしまう可能性もあるからな。



ハイリスク ハイリターン




本当にゾロ屋に追いかけて欲しければ、

本気で別れる気で逃げてみろ。」



「…私、ゾロとは別れたくないわ。」



「くくく、そんな甘っちょろい気持ちで

自分を追わせようなんて、無理な話だ。」




トラ男くんは私を少し見下し、席を立ち、

長い刀を肩に掛け、長いパーカーを

なびかせてダイニングを出て行った。




1人になった私は航海日誌の続きを

書く気にもなれず、キッチンから

ワインの瓶を持ってきて、一口喉に

流し込んだ。





ゾロとは別れたくないわ。



だって、好きなんだもの。



付き合いはじめの頃よりゾロへの

気持ちは大きくなって

日に日に欲張りになる。





もっと私を見て、


もっと構って、


もっと私を愛して…


欲求は増すばかり。




増大した欲求は私を蝕み、

よからぬ行動を引き起こす。



私は頭を振り、自分の煩悩を

振り払おうとしたが、一度

囚われてしまった欲求は私から

離れる事はない。




だって、


今だって寂しんだもの。


私をもっと愛して欲しい…
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