ローナミ置き場

□足休め
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海は深く果てしない。

いくら、自分の信念で海に出ていると言え、

たまには足休めしたくなる。



そんな時、清らかな泉を見つけた。


ちょっと足休めにそこで一息つくだけの

つもりだった。







想定外。






清らかな泉に見えた女は実は泥沼。

足を入れたはいいが簡単に抜けられない。






「ちょっと、ロー!

聞いてるの?」


頬をぷくっと膨らませ、大きな瞳で

おれを睨んでいるのは清らかな泉に

見えたその女。


「…あぁ、それは大変だな。」


「何よ、全く人の話、聞いてないじゃない!

明日、出航するのかどうか聞いてるの!」


オレンジ色が美しく変わった毛並みの泥棒猫。


同じ船のクルーばかりか出会った男全ての

寵愛を受ける高嶺の花。


はじめは清らかな泉に見えた。


おれの疲れた足を癒してくれる。

そして、癒してもらえばすぐに旅立つ

つもりだった。


「そうだな。もう、一晩、停泊するか。」


「…早くしなくていいの?

作戦始まってるんじゃないの?」


「今は時期じゃねぇ。」


「そう?」


少し微笑んでおれの首に腕を回してくる。


あぁ、もうヤバい。




麦わら屋と同盟を組んで、この女との

関係もはじまった。


甘い言葉を囁いて、唇を奪った。

酒のせいもあっただろうが、すんなり

おれを受け入れた女。


清らかな泉に挿れば、そこは泥沼。

なかなか抜け出せない。


1回抱いただけで、その女が頭から

離れなくなってしまった。





「…あっ、あんっ…ロぉ…っ!」


「はっ、ナ、ミ…っ!」


甘い喘ぎ声と女のそこがおれに絡みつく。

もっと、もっととさらにハマっていく。


しかし、どれだけハマろうが、この女は

おれの船のクルーじゃない。


同盟が終了すればこの女とも離れなければ

ならず、敵同士に戻る。


ガラにもなく、そんな事を不安に思っている

自分に驚く。





「なぁ、ナミ。

この作戦が終わったらおれの船に来いよ。」



「…駄目よ?

私はやらなければいけない事があるの。」




「やらなければいけない事って、何だ?

おれの船でもできるだろう。」


少し、ムッとして女を抱き寄せる。


女は微笑んで、


「世界地図を描くことと、



ルフィを海賊王に導くこと。」


と答えた。



「後、世界中の宝を戴くの。」


女は船長である麦わら屋に絶大な信頼を

寄せている。


それははじめて出逢った時から気づいて

いたが、今やそれも許せない。



「世界地図と世界中の宝はおれの船でも

できるだろう?


麦わら屋にどうしてそこまで執着する?」



「ルフィは…


私に生きる命をくれたの。」



「…?」


「ある事があってからルフィに出会うまで、

私は心から笑うことが出来なかった。


でも、ルフィと出会って、自分の人生を

生きる事が出来て、ルフィといると心から

笑うことが出来るの。」



「…麦わら屋に惚れてるのか?」


「…そうね、人間として惚れてるわ。

私はルフィの傍で航海士をしたいの。」



「…」


言葉を無くすとはこの事か。


ハマってしまった女。

抜け出せないのはおれだけか。




「…ふふふっ、


でもね、ロー。」


女はおれの肩に頭をもたげ、胸の入れ墨を

指でなぞる。



「私はルフィとはセックス出来ないわ。

私がセックスできるのはローだけよ。」



「…!!」


あぁ、こいつは泥沼どころか底なし沼。

もがけばもがくほどハマって二度と

抜けられない。




「…出航は明後日にするか。」



「もぉ、何言ってんのよ!」






Fin

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