ローナミ置き場

□危険人物
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おれは、泥棒猫を飼っている。

こいつが、まぁ、気まぐれで、我儘で

おれのいう事なんざ全く聞かない。




航海も治療も恋愛も計画。


おれは何でも自分の計画通りになるのがいい。


なんせ、医者だ。リスクを侵すのは

出来るだけ避けたい。

成功率が高い方がいい。






…はずだったのに、


どうして、こんな女に惚れてしまったのか。








「もう、嫌!!あんたとは別れる!!」



「なんだと?!!」



「もう、うるさいのよ!

私はもっと自由でいたいのっ!!」



「てめぇ、そんなの許されると思うなよ!」



また始まった、女の我儘。


…この場合、おれも我儘なのか。



いつも、自由を欲しがる女、全くもって猫。



「私は海賊なの!海賊、嫌いだけど。

自由がいいのっ!」


「…自由にしてるじゃねぇか。」


「してないわよ!

あれするな、これするなって。


いいじゃない!ちょっと、酔っぱらって、

クルーに絡むくらい!」



「お前はちょっとでも、相手はそう感じ

とらねぇんだよ!」


何度言っても分からない。

ちょっとした挑発でも飢えている

男からしては絶好のチャンスだ。


増してや、

それが狙っている女なら尚更の事。



「女ったらしのコックよりも剣士の方が

厄介だと何回言ったら分かるんだ!?

バカが!!!」


航海術では秀でた才能を見せる女だが、

男の事となると何と無知で無防備なのか。


「ゾロとは何にもないって何度言ったら

解るのよ?!


バカはそっちでしょ?!!」



「今は何もなくても、お前が隙を見せれば

自分の物にしようとしてるって言ってる

だろ!


それなのに、自分からすり寄って

行きやがって、バカ猫!


お前は発情したメスかっ!!!!」



「〜〜〜〜〜っ!!!

もぉーーーーーっ!!!


あったま来た!!

あんたとはもう他人よ!!


今後一切、私に近寄らないで!!!」



「てめぇ、おれがいるから男共はお前に

手を出せねぇんだよ!


おれから離れたらお前はすぐさま犯されて

ボロ雑巾のようにされるぞ!!」



「そんなことないもんっ!!!」



猫は派手な扉の音を立てておれの部屋を

出て行った。


さずが、逃げ足は速い。




「…勝手にしろ…」




ボソッと呟いてみたものの、内心は心配で

堪らない。


おれが見る中でもナミを狙っている男は

5人はいる。


中でも同じ船の片目の剣士は危険だ。


無口で態度に気持ちを表さないだけに、

気持ちが深い。



「…気持ちじゃ、負けねぇけどな。」



あいつを想う気持ちは誰にも負けない

自信はある。


よく、ナミがベルメールさんだのノジコだの

ゲンさんだの言ってるが、そんな奴らより

おれの方がきっとナミを想ってる。


たまに麦わらの名前も出てくるが、

それはそれだ。


船長とクルーの信頼関係はおれの船でも

同じだ。



その辺はさすがのおれも冷静に判断できる。



ただ、剣士は油断ならねぇ。



おれの中の、危険を知らせるアラームが

ピリリリと鳴る。
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