ローナミ置き場

□Limitation
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「どうしたんだ…?船長。」


「さぁ…?気が向かないんじゃない

のか?


でなきゃ、何かの病気…?」





海賊でありながら、船は潜水艦、

クルーは清潔な制服(つなぎ)に

帽子といった海賊とは思えない

小奇麗な出で立ち。


どれをとっても異例づくしの船…



王下七武海 死の外科医の異名をもつ

超新星の一人、

トラファルガー・ローが率いる

ハートの海賊たちは船長の異変に

騒めき立っていた。




「だって、今日で3日目だぞ?

この島に着いて船長が船から降りないの。

普通だったら、島に着くとすぐにでも

船から降りて遊びに行くのに。」



海賊たちは海上で過ごす時間の方が

陸にいる時間よりはるかに長い。


男ばかりの船内では欲が溜まり、

溜まった鬱憤が時にはクルー同士の

争いごとの種になりかねない。

そうならないように、物資の調達の

時は女を買いに町に行くのが海賊達の

恒例だ。



「…そう言えば、この前停泊した町

から様子がおかしかったな。」


ローの右腕の一人、帽子に

"PENGUIN"とかかれた男が

思い出すように腕を組む。




「…この前の停泊…?」


これまたローの信頼の厚い部下、シャチが

首を傾げる。


「あぁ、町に着いて陸に降りたかと思えば

やたら早く船に帰って来て、

それから全く船から降りなかった。」



「…いつもなら、その場その場で女作って

遊んで帰ってくるのにな。」



「もしかして、船長が振られた??」


「えっ?!

船長に限って、そんなことあるのか?!」



ローは女に不自由したことが無い。


他のクルーと違って、女など買わなくても

バーなどで声をかければすぐに自分の

モノになる。


そこそこの町で気に入った女に声を掛け、

停泊している期間はその女で欲を満たし、

出航する。


ローにとって女とは溜まった欲を

処理してくれるものに過ぎないのだ。




「船長…溜まらなくなったのかな…?」


「まさか…」


「じゃぁ…勃たなくなったとか…?


病気とかで…」


「…それはないだろ。船長、外科だけど

医者だし。」


「…だよなー。

じゃ、加齢…??」





「てめぇら…

さっきから、黙って聞いてれば…」


「ぎゃっ?!!船長!!!」



普段なら部屋に入ってきただけでも、その

迫力に圧倒されるほどの圧力を放っている

ローだが、今日はこんなに近くに寄るまで

2人とも気付かなかった。




「誰が、病気で加齢だ…?」


ギラリと瞳が怪しく光り、眉間の皺が

より濃くなる。



「す、すみません…!


船長がいつもとあまりにも違うもので、


心配でつい…。」


妙な汗を2人ともかきながら何とか

ごまかそうと慌てふためく。



「…心配には及ばねぇよ。

ただ単に、女を抱きたいと思わないだけだ。」



「???!!!」


あんぐりと口を開けた2人。



「…







船長、


趣味を男に変えたんですか??」













「バカだな、お前…」


「…すまん。返す言葉もないよ。


お前まで巻き込んで…」


「本当だ…

元に戻してもらったら、おごれよな。」



ローの右腕達は首だけになって、

仲良く2人でテーブルに並んだ。












ローは船長室に戻ると、食堂から持ってきた

酒の瓶を傾けた。


自分の変化にクルー達なりに心配を

していたが、その変化の理由は冷静に

分析し、すでに分かっていた。


そう、解決の手段も。









自分の変化に気付いたのは、

前回の停泊の時だった。
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