ローナミ置き場

□依存的な彼氏
1ページ/14ページ

どこかの哲学者が言ってた。


「男が本当に好きなものは2つ。

危険と遊びである。

そしてまた、男は女を愛するが、それは

遊びの中で最も危険なものであるからだ。」



まさに彼の愛は危険そのもの。



普段、何でも計画して危険を回避する

その反動なのか…





それを愛してしまった私も同じ穴の狢。




私たちはお互いに依存しあう危険な関係。









月夜の明るい夜。


今日は波も穏やかで、春島が近いせいか、

心地よい風が吹いている。



宴の余韻が残る甲板で酔いつぶれた

クルー達を眺めながら、いつも残るのは

ゾロと私。


気持ち良さそうに潰れているクルー達を

眺めながら私は呟く。



「…お酒が強いって、損ね。」


「何でだ?」


「だって、残ると見張りしなきゃならない

じゃない。


…いつも決まってあんたと2人。」



「…仕方ねぇじゃねぇか。



別におれは構わねぇ。」



「そりゃ、あんたはいいでしょうよ!

普段、あれだけ昼寝してるんだから。


こういう時くらい働かないとねー!」


あははと笑うとなぜか少しムッとした顔を

するゾロ。



本当の事じゃない!








「…やけに見られてるな。」


「????」


ぼそりと呟き、ゾロの右目が鋭くなる。

私は全く気付かなかった。


「誰に??」


「…さあな。」


「知ってるって顔してるわよ?!

教えなさいよ!!」


「お前は知らなくていい。」


「?!!

何よ、教えてよ!ケチ!」




どういう事よ?

見られてる??


周りを見回してもそれらしき、人影は

なくいつものように酔いつぶれたクルー達

が見えるだけ。


ゾロがそう言うなら、見られているんで

しょうけど…。


見られてる…なんて言われるとちょっと

気持ち悪いわ。


結局、誰に見られているか、問い詰めても

ゾロは口を割らず、朝を迎えた。


朝まで見張りをした私は眠たい目を

擦りながらダイニングへ向かう。



「おはようございます!

お疲れのナミさんの為に、今日は消化の

よいミルク粥にしましたよー!」



「おはよう、サンジくん。

ありがとう。」



サンジくんは前の日がどんなに遅くても

早起きして私達の為にご飯を作ってくれる。


それに気が利くわ。


見張りで朝まで呑んでしまったから

胃に優しいものが食べたかった。



「朝ご飯食べたら、今日は少し、眠ろう

かしら。」


ボーっと寝ぼけた頭で独り言を言う。


「何だ、昨日寝てないのか?」


いつの間にか、隣には私より寝ていたはず

なのに、私より目の下の隈が酷い

死の外科医さんが座っていた。


おむすびを頬張りながら。



「そうよ。だって、皆寝ちゃってて、

見張りしなくちゃいけなかったし。」


「へぇー。御苦労さま。」





言葉の節に嫌味を感じて思わず眉間に

皺を寄せた。



「…その割に…

楽しそうだったじゃないか。」



「?!」



トラ男くんの言葉にゾロが言ってた




“やけに見られてるな”




の言葉が頭を過り、背筋がゾッとした。




「…な、何の事?」


「分かってるだろ?」


残りのおむすびを口にほり込み、

トラ男くんはガタリと椅子の音を立てて

立ち上がる。


「…お前、


剣士の恋人か?」



「!

…ち、違うわ。」



「…そうか。」


トラ男くんは不敵にニヤリと笑う。





長い刀を肩にかけてダイニングを去る

後ろ姿を見ながら、



昨日、私達を見ていたのは


この男だと確信した。









進路を確認し、船をフランキーに任せて、

少しの仮眠をとる為に女部屋のベッドに

横になった。


さっきまであんなに眠たかったのに、

何だか目が冴えちゃって眠れない。



“…その割に…

楽しそうだったじゃないか。”



“…お前、剣士の恋人か?”



トラ男くんの言葉が頭から離れない。

何の為に私達を見ていたの?



…気になる。




気になる。




気になる!





何故か


気になる!!



冴えてしまった頭をどうにかしたくて、

ベッドの上をゴロゴロと転がってみても

結果変わらず…




私は観念してベッドから起き上がった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ