なんか違う
□09.早すぎる再開を果たしました....
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伊織はなにかを探すように周りを見回している。
俺はといえばさっきのエレベーターでの出来事を思い出して頭を抱えた。
はずい。とても恥ずかしい!!!
「…刹那、大丈夫か」
すると悲鳴や叫び声の煩わしさに眉を寄せたギンだったが、俺の変化に心配そうな声とともに手が頭に置かれた。
「あ…ごめ、だいじょ」
「せーつな」
「おわ、っ?」
するり、と背後から伸びてきた手が頬を撫でて俺の目を覆うように這う感覚。
ひんやりとした冷たい手に肩が飛び上がった。
この、声は....
「こんにちは、刹那。先程ぶりですね」
「あ、う、いおり...」
勿論悲鳴が上がる訳でして。
柔らかく揺れる上品な金色の髪とニッコリと微笑む姿はまるで、というかまんま王子様と言ったところだ。
そんな王子様が笑顔で擦り寄ってくるという異常事態にわたわたと慌てふためく俺にギンからの助け船が!
「....刹那嫌がってる。はなせ。」
「はい?刹那は一言も嫌だなんて口にしていませんが?それとも何でしょう、貴方は刹那の気持ちが多少も違わず汲み取れると?そう受け取らせて頂いて宜しいんでしょうか。」
「………」
沈没したー!!!!助け船が沈没したぞ!
にっこりと王子様スマイルをかました伊織とは反対にギンは面倒くさそうに顔を背けた。