Scrap
□あたたかな侵入者。
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かちっかちっかちっとアナログ時計の針はどれくらい時を刻んだろうか。
沈黙のまま、しばし考えを巡らせたが、ただでさえ意思の疎通が難しい刹那の感情を当てる事は至難のワザ。
細かな心理はわからないが、きっと、どうしようもなく寂しくて不安になったんだろう。
これだけ歳の離れた自分でさえ、正体不明のぬくもりにすがりつきたくなるのだから。
(それにしたって…)
普段は断トツで邪険にあしらっている俺のベッドに潜り込むだなんて理解が及ばない。
優しいアレルヤの部屋は、鍵がしまっていたから?
俺なら危害を加えないと安心しているから?
(後者なら、可愛いンだけど。)
ちらり、と再度見遣るが、刹那は無反応。
「お前、俺に文句があるのか?」とでも言い出しそうなその態度に俺は小さく吹き出した。
(ま、なんでもいーや。)
未だ動かぬ刹那の瞼を優しく掌で遮り、ぎゅうっと胸に抱きすくめてシーツをかけ直す。
まだまだ夜明けが遠い闇に、俺は考える事を放棄し眠りに落ちた。
(おやすみ刹那。あたたかな夢を。)
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