Scrap

□未定
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「なんだ、随分若い新入りだな。子供じゃないのか。」



この町ではあいにく肉体労働の類いの仕事が得られず、仕方なくパブでボーイをする羽目になった。

自分でも人を相手にする仕事は向いていないと分かっていたが、眠れないこの街で小さくなっている間に資金は尽きた。


カウンタの内側でグラスを拭いていると常連らしい数人の男がマスターに話し掛ける


「これでも18だってんだから。愛想はないが真面目だし、まぁ仲良くしてやってくれよ。」


自分の話をされているのに気付き、目線だけを向ける。


「へぇ。ホントに18?」


今まで特別気にせず仕事をしていたが、一番奥の席に居た男が声を発した瞬間、俺は弾かれたように顔をあげた。



まるで、時間が止まったように店内のざわめきは耳に入らなくなり、この場には彼と自分しかいないかのようだ。


「アジア人…いや、中東系か?
あちらの顔は幼く見えると聞いてたが、子供にしか見えないな。」


柔らかく、鼓膜に響くオト。



「新入り、名前は?」



決して姿形が似ているなんて事はない。

よくいる細身の白人男性、ただそんな風貌。


どうひいき目に見たって、あの端正な顔立ちとも、長すぎる程の美しい手足とも、慈愛と厳しさに満ちた瞳も感じられないのに。


ただ、ただ。



「…刹、那。」



「セツナ、か。よろしくな。」




ただ、あの愛おしい声に似ていたから。





(…ロック、オン…。)



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