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熱い。
何かがざわざわと下の方から競り上がってくる感覚。
頭の中で容量を超えて駆け巡る断片的な戦闘の映像と音。
そしてなによりも熱い。
初めての実戦の後、無人島のアジトへ戻った刹那は、味わった事のない感覚に襲われていた。
「くっ…!」
エクシアからなんとか這い出し、壁にぶつかりながら廊下を進む。
(なんなんだ!この暴れ出しそうな感覚は!!)
とにかく頭を冷やそうと簡易シャワールームへ入り、パイロットスーツを脱ぎ切らないまま蛇口を捻る。
壁からずり落ち、座り込んで冷たい水に打たれても、まだおさまらない。
自分が自分じゃないみたいな、気持ち良いような苦しいような、心臓が飛び出しそうな感覚。
物を壊したり、大声を上げたら少しはおさまるだろうか?
「違うっ…そんなんじゃだめだ!」
途端に、シャワーの雨が止む。
「何が違うんだ?」
見上げると、パイロットスーツ姿のロックオンが蛇口を閉じていた。
(あ。これ、だ。)
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