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□絶対的勝者
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「どんな感じだった?」
彼は、椅子に腰掛け、両の手の中ではオレンジを弄んでいる。
「気持ち、よかった?」
彼は、穏やかに俺の目を見詰めて微笑んでいる。
「興奮、した?」
「…っ。驚いた。気持ち悪かった。何も感じなかった。」
彼の正面。
俺は1メートル離れて立ったまま、問われた事に立て続けに答える。
優しい笑顔で、なんて事を聞くのだろうか。
「ほんと?刹那、女性とのキスは初めてだろ?」
にっこりと微笑み、ロックオンは両の手の中でオレンジを弄んでいる。
椅子に腰掛けたまま。
「言いたい事があるならはっきり言え。」
立ったまま、俺はロックオンをぎりっと睨みつける。
1メートル離れたまま。
「んン?だから、初めての女性との接触についての感想を聞いてるんだけど。」
目を細めて、手の中のオレンジに口付けて。
「なぁ。俺の目の前でキスされて、どんな気分だった?」
碧眼は、オレンジに向けられたまま。
「何も、感じなかった?」
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