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□それは自己満足の産物。
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自分の知っているロックオンとうりふたつの男。

同じ血が通っていることは明らかだが、やはり別の人間。


同じアオイロなのに、まるで人種すら違うような瞳。



「兄さんは、死んだのか?」



「…っ。」



あまりに唐突に向けられた質問に、それを伝えるつもりだった決心も揺さぶられる。


彼は死んだのだ、などと。


この四年、一度も口にした事はない。

無論、自分は目の前で看取ったのだから、その事実は誰よりも理解している。



「だから、死んだんだろう?ニールは。」


煙草を深く深く吸い込んだあと、再びライルは煙りと一緒に言葉を吐いた。



そう。


間違いなく彼は亡くなった。



「ロックオン…いや、ニール・ディランディは…」


唇が、震える。


真実を伝えなければ。

愛しい彼の願いを叶えるためにも、真実を伝えてライルの協力を得なければならないのに口にするのが恐ろしい。



(声にすれば、受け入れなければならないだろう?)



俯き拳を握りしめる自分に頭上から声が降る。



「お前、一体なにしに来たわけ?」


目の前に立つライルを見上げると、そこには共に戦った彼の姿がある。


こんなにも月日が経って、こんなにも背も伸びたのに。


まだ彼に追い付けないなんて。



「俺は…」



「俺は兄さんじゃない。そんな物欲しげな目で見られちゃ困る。」


「なっ…!」



確かに、ライルの姿にロックオンを重ねていたが、物欲しそうな顔をしていたわけじゃない。



「刹那…って言ったか?」



僅かに低い温度が、彼との違いを感じさせる声。

それでもその声で呼ばれる事を願い続けた刹那は、堪らなくなり胸を押さえる。


そんな姿を見て、より冷たい声が響く。


「俺は、兄さんがお前をどんな風に可愛がってたんだか知らないが、俺はお前に同じように優しくしてやるつもりはない。」



聞き慣れた、そして4年間焦がれ続けた声が、似ていても別人なのだという現実を突き付ける。



「分かって、いる…。」



言うなれば、自分はライルの最後の肉親を救えなかったのだ。

そして、この期に及んで残されたライルを戦場に引き込もうとしているのだから。



(きっと、ロックオンも怒ってる。)



ライルのために、美しい世界を望んで戦っていたのに。



しかしそれが、彼の願いなら。




(ならばお願い。)



守るから。




守るけど。




彼は生き残り、美しい世界に立たせると約束するから。





(お前の願い、俺に叶えさせて。)



お前の願いを叶える為に、ライルをガンダムに乗せる。




たとえそれが、間違った愛情でも構わない。






(俺には、お前だけ。)



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