Scrap

□未定
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眠れない。


眠れない。



まぶたを閉じても耳を塞いでも。


どんなに願っても夜は来ない。



ぶちん、とコンセントをひっこ抜くように。



意識を強制終了させる方法があればいいのに。



**



「セツナ。」



呼ぶ男は、あの彼ではない。
寂れたアパートのドアは軋み、男が近付くたびベッドが揺れる。


「セツナ、眠れてないんじゃないか?」



優しく響く声が、ほんの少し似ていたから。



「今日は、一緒に眠ろうか。」



帰る場所を失い、新しい世界を見てまわる中、一度足りともコードネームも本名も名乗る事はなかったのに。



ほんの、ほんの少しだけ、彼の声に似ていたから。



あの声に、呼ばれたくて。




『新入り、名前は?』



『…刹、那。』



『セツナ、か。よろしくな。』



胸に広がる喜びと後悔。



(俺は、なんて馬鹿なんだ。)



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