1st

□好き好き大好き。
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俺は、とてもずるい人間なのかもしれない。


**


「まったく…どうしてお前はいつもいつも俺にばっかり構うんだ!?」


ちょろちょろとついてくる、金魚のフンに振り返って問い質す。


「俺はもう16だ!アンタと一緒に寝てた頃より大人になった!」


笑いながらも、悲しそうな表情を浮かべるロックオン。


「刹那が成長したのは知ってるさ。」



「なら、なぜいつも俺に構うんだ!?」


怒鳴りながら、胸は期待でいっぱいで。


「ほっとくと危なっかしいのは変わらねーんだもん。お兄ちゃん心配なんだもん。」


「誰がお兄ちゃんだっ!!」



(違う、違うだろ!?)


そうじゃなくて、もっと聞きたい言葉があるんだ。



「危なっかしくたって、アンタに関係ないだろーが!!」


またまた大声で吠えると、ロックオンは「きゅうん」と叱られて鳴く犬のように上目使いで俺を見る。


「だって、俺、みんなにお前のお守り役言い付けられてんだもん。」



(なんで!?そうじゃないだろっ?)


いらいらが最高潮に達した俺は、とんっと床を蹴って無重力の中彼の胸へ飛び込む。


「アンタはっ!命令されたら誰の守りでもするのか!?」


噛み付きそうな勢いで、胸倉を掴んでも。


責めるようになじるように問い詰めても。



ずるいずるい俺の心は、期待で胸が張り裂けそう。



(お願い、お願い。早く、あの言葉を聞かせて。)




耳たぶがじくりと熱を持ち、焼け付くように男の声を呼び始めている。



「おい、ロックオ…」




「好きだからだろ。」





おはよう、と挨拶するのと同じような当たり前の日常のように。


まるでその答えは、世界中の誰もが知っていて当然であるかのように。




平然と彼は、理由を告げる。




「…馬鹿だな、アンタ。」



「そりゃあどーも。」





胸をどん、と突き放し、回れ右をした俺の顔はきっと満足げで。



後ろに居る男は、きっと微笑んでいる。



(好き好き大好き。素直になれない俺に、もっと聞かせて。)




*END*******

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