1st
□飼い主と犬。※
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俺は刹那が好きだ。
たとえ彼が自分を見ていなくとも。
だから、彼が望むなら、どんな事でもしてあげる。
いつか、俺を見てくれるかもしれないから。
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「大丈夫か?辛かったら言えよ。」
辛くないはずない、と理解して居ても、相手を労り口をつく台詞。
ならばその行為を止めてやればいいのだが、残念ながら俺の中にはその選択肢はないらしい。
『眠れないから抱いて欲しい。』
そんな悩ましい頼み事、断る余地は俺にはない。
もし自分が断ろうものなら、この少年は誰に頼むかわかったものではない。
それに、愛する人の願いを叶えたいと思うのは、極自然な事だろう。
「…っはっ、ぁ…」
耐えるように肩で息をする刹那の姿に罪悪感を覚えて、差し入れていた人差し指を抜こうとすると、熱い内部が俄かに収縮してそれを引き留めた。
「せつ…」
驚いて顔を見ると、苦痛と快楽の狭間をさ迷う潤んだ瞳。
はぁっ、と一息ついてから、のろのろと小さな唇が開かれる。
「辛い、のも…痛いの、も…慣れてる、から…」
だからお前はそんな事を気にするな。
さっさと痛みを与えて、
俺の頭をからっぽにして、
俺の体を快楽で一杯にして、
俺の理性を壊してくれ。
そんな風に、朱い瞳が語っている。
「ん、ぁあっ!」
その視線を合図に、まるで世界が崩れたみたい。
頭も胸も喉も、爆発しそう、だ。
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