2nd

□You are MINE.@
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「あーっ!もぅっ!なんなんだよ!?」


突き刺さるように感じる視線に耐え兼ね、俺は髪をくしゃくしゃに掻き回して抗議の声を上げた。


「全く…フェルトって子といいお前といい、CBは兄さんのファンクラブかよ!?」


先程から俺を追う視線の主は、弁解するでもなく俺を見据えている。


まったくもってこの朱い眼は、なんてもの言いたげな色をしているんだろう。



「…なぜ、」



「あぁ?」



「なぜ、フェルト・グレイスにあんな事を?」



整った形のよい唇から発せられた『あんな事』とは、間違いなく先日のキスの事だろう。


「なんだ?見てたのか?」



「いや。ハロから聞いた。」



「っ!あいつ…」


オレンジの球体は口が軽いとフェルトの時にわかっていたが、まさか刹那に報告するとは予想外だった。
金輪際、高い高いなどとあやしてやるものかと心の中で毒づいてまた髪を掻き回す。


「フェルトが、好きなのか?」



「ははっ、まさか。」


彼女に魅力を感じない、とかではなく、まだここへ来て数える程しか日が経っていないのだから好きもくそもないだろう。

あまりに自分の中に兄の姿を探す彼女に現実を見せてやっただけだ。


(勝手に比較されて、傷付くのは彼女と俺だ。)



おどけたように否定した俺に、刹那はまだ真っ直ぐ顔を向けてくる。



ほの暗い、二つの朱い眼からは真意が読み取れない。


「なに、お前こそ、彼女の事好きなの?」


未だ立ち去る気配もない無口な青年に、仕方なく俺は『ありがちなパターン』なのか確認を入れる。
まさか惚れてもいない女のために三角関係を繰り広げる程若くもない。

無駄な争いを避けるべく刹那に問い返したが「違う」と短く切り返される。


「じゃあなんだ?艦内の風紀を乱すな〜って御小言か?」



俺は刹那の視線に居心地の悪さを感じ、さっさと彼の意図を聞き出してこの場から逃げ出したいのだ。


「…そうじゃない…。」



(…くそっ!じゃあ一体、何なんだよっ!?)




立ち去らない彼。


もの言いたげな瞳。



見詰められて、うなじのあたりに、焦げ付くような感覚が走る。


(どうして、そんな悲しそうな眼で俺を見るんだ!?)



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