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□こわいもの
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その後。
結局、刹那との関係は進んでいない。
いや、そうゆう面以外はとても順調だ。
もちろん、あまり行動を共にするミッションばかりではないが、時間を見付けては刹那の地上の住居にも訪れている。
「食事を作って食べさせて?散歩に出掛ける?うちではテレビを並んで見る、と…?」
「あぐらの上に座るんだぜ!」
「ふぅん…。それはまあ、懐いてはいるよね。」
「だっろー!?」
「ペット的、愛情だけどね。」
「…はい…。」
食堂を離れ、宇宙を一望出来るブリッジへ移動した。
ここならあまり人はこないし、人に聞かれてまずい話も出来る。
刹那への感情に気付いてから、もう半年近くたつ。
結局、抱く事は出来ないまま今に至る。
「それで、その間は自分の欲求はどうしてるんです?」
「…………る」
「はぃ?」
「…適当な女性で、済ましてる」
「う、わ…女の敵!!」
「相手だって大人の女性だし、向こうも俺を適当な男として扱ってるからいーの。」
「うわぁ…汚い大人だなぁ、ロックオンは」
アレルヤは大人だ。
こんな話もジョークのやり取りも、彼とだから出来る。
「まぁ、その女性達とは利害が一致してるようだからいいんですけど。」
そう。その女性達はアレルヤの言う通り、お互いの大人のツラサを紛らわすためだとわかっている。
「彼は…刹那は。きっと、傷付くんじゃないかな?」
そうだ。
純粋な彼には大人の言い分は聞き入れて貰えないだろう。
「その、なんてゆうか…それなりのコトは、してるんでしたよね?」
「うっ…まぁ…。ただ、俺が刹那を構うだけで、刹那から俺に触れてくるような事はないな…」
「なるほど。お触りだけの恋人か。」
それは余計にキツイだろうな、とアレルヤは気の毒に思う。
このままでは、いつか二人の関係が悪い方向へ向いてしまうだろう。
「一度、落ち着いて本当の気持ちを伝えてみたら?」
(…言えるわけねーだろ!!)
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