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□こわいもの
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抱きたい、だなんて。
抱くのが怖い、だなんて。
(言えるわけねーだろ。)
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アレルヤと別れ、エクシアの整備を終えているはずの刹那の部屋へ向かう。
ノックをして中へ入るとおいしそうな匂いが充満している。
「お前、また…そんなもん食って!プトレマイオスにいる時は食堂のメシ食うって約束しただろぉ〜??」
自販機で買ったらしいインスタントのホットドッグをかじったまま、刹那はちらりと俺を見る。
「食堂、行った。」
「ならなんでそこで食べなかったんだよ?」
目をそらし、もぐもぐさせていた口の動きが止まった。
(横顔、幼いな)
「お前、好きな女がいるのか?」
(……………。はて?)
あ?
い??
えぇぇっ!!!?
「手も出せない程好きな女なんだろう?俺なんかに世話を焼いていないでそいつのところへ行け。」
「聞こえなかったか?出ていけ。」
冷たく言い捨てた口が、もぐもぐを再開させる。
あまりに冷たい言葉と視線に、止まっていた思考が叩き起こされる。
「ま、待て!お前、そ、それは聞き間違いの勘違いだ!!」
「俺には言い訳をしてもらう理由はない。」
言い終わり、最後の一口を飲み込む。
「…好きな相手への想いを、他の女で紛らわすなんて卑怯だ。」
(うん。俺もそう思う。)
でも、抱くのさえ怖じけづいてしまう程好きなんだ。
お前が。