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□御馳走と狼
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「……なんだ?」
長身をかがめて、ぴったりと背後にくっついてくる男に、すこし怒りを込めて問う。
自分の小ささを突き付けられているようで悔しい。
「ん〜?いやぁ…ぅん…」
曖昧な返事をするロックオンに、思い切りエルボーをお見舞いしてやる。
「う、ぐっ…!せっちゃん…ひどい!!」
「不気味な態度をとるお前が悪い。一体なんの用だ?」
いい歳して涙目になっている男に、出来るだけ冷たい言葉をかける。
(この男は、ちょっとぐらいじゃダメージを受けないからな…)
「冷たいなぁ、刹那は!」
声は笑ってるのに。
「俺はただ、まだ食べさせて貰ってない場所、見つけちゃっただけなのに。」
獲物を見付けた狼みたいな眼。
(聞くんじゃなかった。)
その低い声に捕らまえられる。
(も、足、震えてるし。)
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