2nd
□You are MINE.A
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「顔。」
「へ?」
ぽつりと刹那が呟き、止まっていた食堂内の俺の時間が動き出す。
「俺の顔に、何かついているのか?じっと見ているが…」
「え?あ、や、その、」
どうやら先程の脳内会議中、俺は刹那を見詰め続けていたようだ。
うまくその場をごまかせない程動揺する俺を、刹那はパンを食べながらも大きな目でじぃっと見ている。
下唇についた、パンくずをぺろっと舐める姿に、まるで自分は誘われているような気がして心臓が跳ねる。
「…そんな目で見るな。欲しいのか?」
パンを小さくちぎり、持ち上げ問う刹那に、俺は必死に頭を縦に降る。
(まさか、お前の唇によからぬ妄想してましたとは言えないっ!)
「仕方ない奴だな。ほら。」
子供に言うように呟き、ちぎったパンを差し出す刹那に、一安心して受け取ろうとした手は空振りする。
「ん、む???」
すでに唇の中央にパンが押し付けられ、俺は否応なく口内にそれを受け入れる。
「うまいか?」
こくっこくっと頷きながらパンを噛む。
食べさせてくれるなんて、可愛いなぁと思ったその瞬間。
「っ!!!」
ぺろり。
「お、おまっ…!!刹那ぁっ!?」
「パンくずが、ついていたから。」
だから、ぺろりと口端を舐め取ってやったのだと。
「言ったろう。お前は、俺のものだ。恥をかかせないよう、気をつけてくれ。」
薄く微笑んで席を立つ刹那に、よろしくと言わんばかり肩をぽんっと叩かれても俺の金縛りは解けなかった事は言うまでもない。
(…やっぱ、勘違いじゃねーじゃんっっ!!!)
再び刹那の後を追えない俺は、第二ラウンドも完敗してしまったのだった。
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