東京喰種
□バレンタイン
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----アヤト
「バレンタインキースっ大人の味ねーしゃらららー」
「・・さっきから何歌ってんだよ」
あ、ラストスパートなのに・・
いいところでアヤトに邪魔をされた。
「バレンタイン・キスだっけ?」
「こっちが聞いてんだよ」
「あ、そっか」
私があっけなく答えるとアヤトは呆れたらしく、昼寝しはじめた。
今日は人間達の間でいう「バレンタイン」という行事の日らしい。
好きな人にチョコをあげるとかなんとか・・
人間ってよくわかんないことするよねー
折角だし、お肉でもあげよっかな。
あ、だめだ。全部食べちゃった。
これから狩に行くのもめんどくさいしー・・
「はっ!」
いきなりひらめいた。
「これでいいや」
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「ぐえっ」
変な声が自然とでる。
何か・・腹に重いものが・・
おそるおそる目を開けると、名無しさんが俺の体に馬乗りしていた。
・・結構アレだよな、これ。
「・・なにしてんだよ」
と、聞こうとした瞬間名無しさんの顔が近づいてきて唇に何かが触れた。
「・・っ、な、何してんだよ?!」
「きゃー顔真っ赤」
にやにやしながら見下してくる名無しさんから、顔を見られないように手で隠す。
なんなんだよ・・、こいつ
「バレンタインだよ、バレンタイン」
「・・は?」
「人間達の行事。だから、私からはキスだよ」
名無しさんは唇を指差しながら微笑んだ。
・・何だか、そういうコトに目覚めてしまうような表情だった。
不覚にもドキってした。
「・・で、アヤトくん?さっきから当たってるんだけど・・」
俺の下半身を指差し笑顔で、言ってくるから体中の体温が一気に上がる。
・・好きな奴にあんなことされたら誰だってそうなるっつーの・・ッ!!
無自覚なのかどうなのか分からない名無しさんは「もう一回する?」と聞いてきた。
あまりにも余裕そうな表情で言ったから名無しさんの頭を抑えキスをし、続けて激しいキスをした。
「ハッ・・お返し・・だ・・っ!?」
ざまあみろ、と名無しさんを見ると顔を真っ赤にし息を乱しこちらを見つめていた。
それはズルいって・・
「もう無理ッ!」
俺は名無しさんを一旦持ち上げ、押し倒すと再びキスをした。
「私・・そういうつもり・・じゃ・・んっ!」
「うるせェ。お前から誘ってきたんだからな」
名無しさんの甘い声が部屋中に響いた。