遊戯王【銀の月姫】
□第八話「we trust you」
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闇雲に探しては、時間がかかる。
ネットの地図を頼りに、遊戯達はジェイズの場所を突き止めた。
「……」
人気の無い路地裏。
建物の陰に隠れて、咲月は道路を挟んだ向かいの店を見る。
入り口の壁が汚い言葉の落書きをされ、その入り口の傍らには、同じく落書きされた「J,z」と書かれた看板が立っていた。
此処がジェイズだ。
(此処に城之内君が……)
しかし居るのは彼だけではない。
城之内を連れて帰るにしても、そいつらはどうする。
「…!」
考えている内に、入り口から人が出てきた。
着ている制服は、隣玉高のそれだ。
間違いなく、蛭谷の手下に違いない。
「お……一人出てきたぞ!」
「どうするの?」
咲月が訊ねると、本田はニヤリと笑みを浮かべた。
「吐かせる。三人までなら、俺一人で何とかなる」
「!!」
言うが早いか、本田は不良の後を付けた。
入り口付近で騒がれて、仲間が出てきたらマズい。
それを防ぐ為に、本田は不良をある程度泳がせる事にしたらしい。
咲月達も、本田の後ろから続く。
「ち……蛭谷さん変な洋モク吸ってるから遠いんだよな売ってるトコ……」
ボヤく不良と入り口の距離は、結構開いた。
今だとばかりに、本田は一気に距離を詰める。
「よっ!」
「ん……な……なん……」
いきなり目の前に躍り出た本田に、不良は不意打ちを食らった。
あっという間に締め上げられると、本田は不良の胸ぐらを掴んで問いつめる。
「おい……城之内が、何でてめぇら隣玉の連中と連んでんだ!訳を聞かせな!」
「へ……知らね…」
「喋らねーとぶっ殺すぞ!」
本田が怒鳴ると、その気迫に怯んだ不良から「ひっ…」と小さく悲鳴が上がる。
「解った…話すよ……」