遊戯王【銀の月姫】

□第八話「we trust you」
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一方、ジェイズの店内は、客も従業員も居ない不良の溜まり場と化していた。
カウンターの席に腰掛け、まるで店の主を気取るかの様にふんぞり返っている蛭谷は笑う。

「城之内が俺のグループに入ってくれたのは大歓迎だな!また昔みたいに暴れよーや!なぁ!」

「……ああ」

「とりあえず、どの辺から勢力伸ばしますかね〜蛭谷さん」

リーダーの機嫌を取ってでもいるのか、ニット帽を被った不良は、喋りながら自分のポケットから煙草を取り出す。

「蛭谷さん…煙草切らしてましたよね…俺のをどうぞ」

「ん?ああ悪いな」

カチリと傍らでライターの火が着く音がして、間もなく煙が漂ってくる。
ソファーに腰掛け、正面のテーブルに足を投げ出して仏頂面を浮かべている城之内の前を煙が横切った瞬間

「……」

城之内の目が、ニット帽を被った不良を睨んだ。

「ん…何だよ城之内……俺の顔に何か付いてるか?あ?」

城之内の視線に気付いたニット帽の不良が訝しむ。
城之内は一旦不良から目を反らしたが、その視線は再びニット帽の不良を捉えた。
隠しても隠しきれない、感情を宿して。

「だからよー、さっきから何なんだぁ?城之内よぉ」

不良の言葉に苛立ちが孕んで来たが、城之内はそれを完全に無視するとソファーから立ち上がって呟いた。

「やっぱ……絶対許せねぇよなぁ……」

「え……」

一瞬呆けたのが運の尽きだった。

「俺の友達殴ったのはよぉ、許せねーっつってんだよ!」

今の今まで押さえていた怒りが、拳となって不良を襲った。
殴り飛ばされた不良は派手に吹っ飛ばされ、そのまま気絶して床に転がる。

「くく…城之内、やっと昔の眼に戻ったな…嬉しいぜ……」

仲間がやられたにも関わらず、蛭谷は激高している城之内を見て薄ら笑いを浮かべていた。
しかし、それも束の間

「だが、俺達を敵に回そうなんてのは悲しいなぁ」

薄ら笑いが消える。
その途端、蛭谷の号令がかかった。

「城之内を押さえろ!意識改革の為の処刑を行う!!」

手下どもが城之内を取り囲む。
そんな状況下でも、城之内は不敵に笑った。

「けっ上等だぜ!」
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