遊戯王【銀の月姫】

□第一話「月下にての邂逅」
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白く輝く鎖が、闇に身を堕とした魂を拘束する。

自分は、奴を道連れに滅びるつもりでいた。

奴を封じる代償が、命だけでは留まらず、魂まで砕け散る事になるとも承知していた。

だが

“彼”はそんな私を止めた。



『“お前”が……お前の魂までも犠牲になるのは堪えられない!!』



そして彼は、自分の両肩を掴んで持ちかけた。



『……使え。俺の―――――で、お前の―――――を補え……!』



耳を疑った。
何を言っているんだ。そんな事をしたらお前が――――!!


『―――!!―――!!!』

何かを叫び散らす自分。
だがそれを受けても、彼は只微笑んだ。
そして言う。

『―――――――』

何で……何でそんな風に笑えるんだ。
解ってるのか?私がそんな事をしたら、お前は―――――。



――――――事になるんだぞ?



涙が出る。
何て……何て事だ。




彼は、ずっと自分に笑いかけていた。
泣いている自分とは、余りにも対照的な表情。



自分は、目を閉じる。
暗闇の向こうで、彼の気配が動いた。
近付く温もり。







全てが、白い閃光に呑まれていく。



何もかもが、白く漂白されていく。






嗚呼





いつか





お前が目を醒ます時が来たら





私は





その時はきっと――――





――――パキンと





金色が砕けた音がした。
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