遊戯王【銀の月姫】
□第四話「まやかしの未来と約束」
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「……? 杏子ちゃんどうしたの?」
朝の通学のバスの中。
隣に立つ杏子が、何だかボーッとしている事に気づいた咲月は首を傾げた。
「!! ううん、何でもない!ちょっと眠たくて……」
我に帰るなり、杏子は「アハハ」と笑い出す。
「そう……?」
「うんうん……こうなったら授業中寝るしかないわ」
「バレない様に気つけてね?城之内君みたいに怒られるから」
「りょーかい!」
ピシッと敬礼する杏子。
そんなおちゃらけに咲月が笑みを零すと、不意に杏子が目を伏せる。
「……ねぇ、咲月ちゃん」
「何?」
「……顔知らない人を好きになっちゃうって……ありだと思う?」
「え!?」
一目惚れ以前の話に、咲月は目を見張る。
杏子の顔は、微かに赤くなっていた。